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ボーイミーツガール8

「は?どうしてですか、行く場所ないんでしょ、」

「ありますから心配しないで、」

そのあとは空人がいかに理屈を並べ、彼女を止めようとするが彼女の意志は変わらない。この人に迷惑がかかってしまう。この人は私のことを邪魔だと思っている。だから負担をかけるわけにはいかない。一切聞く耳を持たない彼女の態度に空人はすぐに無理に引き止めるのもおかしなことだ、彼女は大人で自分で判断した、自分の行動には責任を持てるはずだと、彼女の説得を早々に諦めた。

「それじゃ、空人さん。お世話になりました。ご両親とは仲良く、嫌って不機嫌になるよりも、仲良くした方がいいですよ。死んでから後悔してもしょうがありません。

言いたいことがあるなら、怒らずにちゃんと自分の気持ちを言葉にして伝えましょう」

「ちゃんと言っています。向うが人の話を聞かないだけです」

「空人さん、自分が思っている以上にお父様と話している時、ちゃんと伝えられていませんよ。ちゃんと言わなくても相手がわかってくれるなんて思わないほうがいい。お父さんは空人さんが何に怒っているのか、何に苛立っているか伝わっていませんよ」

「だから俺は、いや、いい」

「頑張ってみてください。それじゃ」

彼女はそういいながら笑って出ていった。これからどうするつもりだ、いや俺には、

「よかったんですかあんな言い方、」

彼女が扉を閉め、立ち尽くす空人にシエルが話しかける。

「……まさか、彼女の父親の件、お前たちの力のせいじゃないだろうな。もしそうならただで済むと思うなよ」

「そ、それは、」

「ご心配なく空人様それはありえません。まだ空人様と彼女の間には何の因果もありません。そのような状況で人の命を巻き込むことなどありません。もっとも空人様が彼女に好意を抱き、何としても彼女を自分のものにしたいと強く願えばそういう事もあり得るでしょう。ですが、現時点でそれはありえません」

クマのぬいぐるみの姿から人に姿を変えたセフィラが歩いてくる。

「誰だよ、姿をころころ変えるな……嘘じゃないだろうな」

「誓って、人の命はそれほど軽くはありません」

「そうか、」

「それでどうするつもりですか?」

「どうするつもりとは?」

「質問を質問で返す、しかも答えの分かった質問をあなたらしくありませんね」

「彼女のことです、放っておくつもりですか?」

「放っておくもなにも彼女が自分で決めた事だろ、俺はここにいていいといった」

「言い方一つで、善意も悪意となります。空人様、残念ですが、空人様の言い方では誰もがあの選択しかありません。あれでは出て行けと言っているようなものです」

「俺は別にそうはいっていないだろ!」

「結果的にそう伝わっていると言っているんです」

「それじゃなにか?俺は同情する言葉を並べて、大変だったね、今日からここがあなたの家だと思ってとでも言えと」

「はい、そうです。何か問題でも」

「どうしてそこまで、」

「ですがそれが、あなたの本心でしょう」

「俺は別に、」

「はぁ、この後に及んでまたプライドの問題ですか、風上空人」

「せ、セフィラ?さん」

普段のセフィラからは想像できない高圧的な態度にシエルは距離を感じる

「そんなにキャラづくりが大事ですか?目の前に出女の子が困ってんのにお前は自分のプライドのために優しくしてあげることもできないのかよ。情けないチキン野郎だな。男なら器量の大きさを見せろよ。自分はできるだけの事はしたか、女一人くらい面倒見てやるくらい言えないのかよ、シエル、もうこいつはダメだ。心の中だけで同情して、目の前で女を見捨てるような奴に何を期待しても無駄だ。未来に変えるぞ」

「何だと?」

「突っかかってくんなよ、本当の事だろうが、お前がいっつも言っている事だろ、それとも何か自分が言われるのは気に入らないか?気にすんなよ、別に俺がどう思おうと」

セフィラは半ば強引にシエルの手を引き、玄関のドアを開く。

「悪かったな、今までこの家に邪魔して、もうお前の前には現れない。好きにしろ、この両親の金で立てた家に一人で、引きこもりでもしてればいい。悪かったな今まで邪魔して、

おかげで大分ストレスが溜まっているみたいだからな、ほらよ」

そういってセフィラは本を投げる。それは女性の水着姿の表紙の本

「それで一人でストレス発散でもしてくれやじゃあな、あははは」

「セフィラ!」

空人が起こってつかみかかろうとするがセフィラはシエルをお姫様抱っこをして宙に浮きあがる。

「悪いがもうそろそろ雨も降りそうだ、強くなるって天気予報でも言ってたな、俺たちも雨宿りの場所を探さないといけないんでな。じゃあな、」

セフィラが飛び立った後、空人は周りの家にも聞こえるほどの大声で、セフィラを名前を叫ぶ。次に見つけたらぶち殺してやる。

とは言え、今はそれだけではない、どうしても彼女の事が気になる。セフィラの言うとおりだ。それは分かっている。彼女に当てはない、この後に雨にぬれるかもしれない。

今までにない感情が空人を襲う、不安感、罪悪感。ここまでのものを今まで感じたことはない。とはいえ、セフィラの言葉、このまま探しに行くのも癪に障ると、

自分の感情を抑え込み、家の扉を閉める。だが、それも、


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