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挑発8

「やった、仁さんの愛の勝利です」

「シエル様、違いますから……」

「あのさ、提案、たぶんこのままだと彼女できないわけでしょ、だったら、成人してからそういういかがわしい店に連れて行けばどうなんだ?やれるはやれるだろ」

「もうその頃にはいろいろ手遅れです。それ以前に風上空人は、未来であんなバカな事を実行できるほど、純粋なんですよ。だから恋愛も、少女マンガもびっくりな純愛を求めているわけで、だからやる事ではなく、彼女ができることが目的なんです。たぶん、」

「そうなの?」

「知るか!興味がねぇ!」

「やれば価値観変わるかもよ、どうだ?今度ナンパのやり方でも、あぁ、でもまず無理か、お前だと薬の力借りてもその前に振られるか」

「言いたい事は色々あるがまずはその薬の力という言い方をやめろ、犯罪の印象がある」

「効果的には同じようなものじゃないか。お前、今のその惚れ薬が効く前、高校入ったばっかの頃、一緒に遊園地行ったこと覚えてるか?」

「あぁ、なんかあったな」

それは高校に入学して2週間、同じクラスだった仁と空人。その頃はまだ、引っ越してきたばかりの空人がどういう人間であるか知る者はいなかった。そんな中、クラスの10人で、仲良くなる為にと遊園地に行く事になった。

空人は当然のことながら断ったが、どうしてもという理由でみんなに付き合った。

でもそれは皆が面白がって空人が好きだという子を恋仲にしてあげようという余計なお世話。悪意から生まれた善意。

だが、空人は、彼女を見て『かわいいでしょ』、と彼女の話題を振るクラスメイトの女子の問いに答え、本人を目の前に遊園地に来ているのにスカートは機能的じゃない。と答えた。

その後も、しつこく聞いてくる中心的立場にある女子に、時間の無駄だと苛立った空人は『可愛いと思われたいのか馬鹿じゃないか。本人がそう思ってるならいいだろ』と、

それは全てを傷つける言葉、だから仁は初めて空人に手を出したそれが初めての喧嘩。

その日はもうめちゃくちゃ、空人は仁をボコボコにし、『で、どうする?このままこの場ちゃんを続けるのか、俺が邪魔なら帰るが』と手に一日を冷静に拭きながら言い放ち、女子は泣き出し、男子は怒るがそんなことは空人は全く介さない。伝説の始まりのページだ。

「それに去年の文化祭も、」

そんな調子で距離の空いた空人、だが、1年の文化祭2度目の転機がやって来た。

その後、仁とも今のような関係になり、それなりに文化祭に協力することになった。

だが、結局そこでも空人は自分の仕事の区切りをくっきりわけ、一人で作業をしようとした。だが、それでは何も変わらないと、みんなでやればすぐに終わる。一人でやらずにみんなでやろう。そんな優しさを迷惑に感じながらも、空人はそれに従った。

だが、すぐに休憩。空人は自分はいらないと拒絶するが、いいからと休憩に巻き込まれた

1人でもやり続ければ1分1秒でも早く終わる。

頭の中でそう考える空人、そして毎日続く、休憩に入るための話し合い、再開するための話し合い。その時間を無駄だと考え我慢ならなかった。だから空人は一人で休憩も取らずに、作業を続けだした。

最初こそ声をかけていたクラスメイトも、全く聞こうとしない空人に次第にその気もなくしていった。人の何倍も正確に、早く、効率的に、的確に、空人は当たり前のようにそれができる。だから人の何倍もの仕事を一人でやり遂げた。

だから空人は、文化祭前日、皆で泊まりの作業をする予定が、自分の範囲は終わったらと自分一人だけ帰ろうとした、皆は協調性がないと、遊園地の日のことを忘れ、空人を非難したその時その場に仁がいれば自体は変わっていただろう。だが、仁は買い出し中、だれも空人を止められない。

『お互いに足を引っ張り合い理解できない思考だな。

自分たちにクズを反省するでもなく、俺が悪いだ。お前が何をした?偉そうに皆の意見の代表のような言い方、いいか、この準備で一番の役立たずはお前だ、』

『私は皆が楽しく作業できるように』

『お前がいない方が何倍も作業は早く終わる、写真を撮る暇があるなら手を動かせ、その空の頭を使え。やることをやってから、楽しくなんて言え無能が』 

人は誰とでも理解し合える。それと同じように、誰とだって壁を作れる。

それが空人の学校での立場を決定づけることとなった。

この男は誰よりも有能、誰よりも強い。だが、自己中心、人の気持ちなんかわからない。だから関わるだけ損だ。

「お前、そもそもまともな人付き合いができないだろ。もう少し自分をちゃんと見ろ。

別に俺はお前に恋人ができるだとかできないだとかそんなんはどうでもいいと思っているが、でも、今のまま、薬の力とはいえ、お前のことを好きだという女の子にあんな調子で接されるのは気に入らない。また泣かせる気か」


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