天使捕獲作戦5
場所は移り、21時風上宅
仁は弟に伝言を頼み、長治は電話で帰りが遅くなる旨を伝え、座布団に座る
「さて、と。それじゃ話してもらおうか、手順は任せるが感情論は抜きで頼む」
仁、長治が並んで座り、その左側に空人が座ると、何もない対面に向かって話しかける
「……え、なにちょっと待って、俺、お前の心のお友達紹介に付き合わないといけないの?」
「やっぱり、お前たちには見えないのか」
「それはそうだ。俺たちはまともだからな。あのさ、もう帰っていい?」
「そうじゃのう、証明するといってもこれではのう」
「このままだと俺が嘘をついていると確定される、それは困る」
「知らない、そんなこと、どうでもいい」
「だから俺は、それが気に入らないと」
「風上空人。私に任せて、」
シエルは立ち上がり、二人の目をその手で覆い、何かを唱える
「今は見えますでしょうか、仁様、長治様」
「うん、見える、グラマラスな天使が見える」
「すごか羽じゃのう。これがコスプレか、いや本物か、宙に浮いとるぞ」
感心してじっとシエルを見つめる二人、暫くすると突然シエルは泣き出し二人に抱き付く。
「お久しぶりです。こうしてお話しできる機会がこようとは思ってもおりませんでした」
突然のことにどうしていいかわからない二人。空人はそれを無視し、セフィラに話かける。
「俺の時とはずいぶんと違うな」
「それはそうです。あなたは人類にとっての敵。諸悪の根源。
それに比べお二人はそれを止めようとした人類の希望、救世主なのですから」
「種の敵か、そんなたいそうな力があれば、俺はとっくの前にこの世界を綺麗にしている」
「そう、何とかされてしまったんですよ。だからこうして私たちはここまで来た」
シエルが落ち着きを取り戻すと3人を前に、シエルが口を開く。
「今から20年後、風上空人、あなたは人類に向けてたった一人で宣戦布告を行います。
始めは誰もあなたを相手にしていなかった。数の正義と科学を前に一人に何が出来る。
ですが次第に人々は後悔をする。多くの選択肢を誤りながら、より愚かな選択を選びながら、人類の為、国の為、友の為、家族の為、そうして戻れなくなってしまった。
そして約15年。文明を崩壊させ、緩やかな衰退の中、あなたは本当に人類を滅ぼします。
静かな世界、世界樹が全ての命を司り、停滞と平穏の中で、星とともに消えゆく世界。
進化の可能性を失い、生物の時代もやがて終わりを告げる。
積み重ねられた心と魂、その果てに行きつくこともなくあなたはこの星、宇宙の死を選ぶ。
痛みを感じるものがいなければ悲劇は生まれない。あなたは先に進む事よりも、このまま消えゆく事を選択し、全てを巻き込んだ」
「なんの話じゃ?ゲームか何かか?」
「私たちは今から100年後、全ての可能性が途絶えた未来からやってきました」
荒唐無稽な話、普通であればそんなものをと空人はキレるところだ。
だが、この3人の中で一番その話を信じているのは空人だ。
自分の目で見たことしか信じない。でも夢であっても、自分で見たものならば、