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五人の『覚醒者』は異世界へ~五つの物語~  作者: オルレアンの人
最終章『転生軍人』

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54.ロヴァエミ村


「何でお前はそっち側にいれるんだ....」


 瓦礫の山の上に誰かが立っている......いや、誰かじゃない、奴は国際指名手配されている覚醒者だ。


「何でお前は国に味方する....なんで彼らの味方をしない......同じ覚醒者ならわかるだろ。彼らは望んで『力』を手に入れた、だが悪事は犯さなかった....犯したことが無かった」


 彼女の顔はひどく悲しみ、涙を流している。


「彼らは再び望んだんだ....私達は人間だ、『力』を持つただの人間だ.....覚醒者などではない、私たちが望む事は一つ....平和に暮らしたい......ただ....それだけだった」


 彼女は空を見上げ、掌を天に見せるように腕を伸ばす。

 まるで神に救いを求めるかの様に。

 だが、伸ばした手は力強く握りしめられ、彼女の顔は険しく、憎悪に歪んだゆく。


「だが世界はっ....!!彼らを利用した.....彼らの望みに耳など貸さず!!悪事を働く覚醒者にぶつけ!!!金儲けに....戦争に利用し!!!!何の罪もない彼らは国に自由を縛られ....死んでいった.......何なんだこの世界は......だから私は....彼らの願いを叶える......!!!全ての『力』を持つ人間に自由を....!!!差別者には裁きを....!!!だから邪魔するな......ヒーロー気取りがッ....!!!!」



 何ヶ月ぶりだろうか....こんなにふかふかのベットで眠るなんて。

 最高の寝心地だが最悪な夢を見ちまった。

 自分の死ぬ瞬間の夢なんざ誰も見たくないってのに。


 私が目を覚ますと、そこはベットの上だった。

 一瞬、起きて天井を見た瞬間はゴブリンだの何だのは全て夢だったのかと思ったが、横を見てすぐに現実だとわかった。

 木製のダイニングテーブルとセットで置かれている四つのイス、火を灯している暖炉、キッチンと思われる空間に......革装備や弓、剣が飾ってある。

 そして....。


「おや、目が覚めた」


 そこにいたのはイスに座っているライオンだった。

 いや、ライオンの顔を持つ動物人だ。

 ライオンの顔をしているが足は羊......いやヤギに似た足で、星型の模様が入った白衣を着ている......白衣で体が見えないが、果たしてライオンの体なのかヤギの体なのか....流石に興味が湧いてくる。


 (いや、手はライオンだから上半身と下半身で分かれてるのか?)


 私が目を覚ました事に気付いたライオンは、イスから立ち上がり私に接近し始める。

 迫り来るライオンの顔......普通に怖く、うっかり銃化して撃ちたくなってくる。

 私の元に来たライオンは私の頭を掴み、逆の方向へ向かせ、後頭部を触り始める。


「ほう......薬を塗ってるとはいえたった1日で完治するなんて、凄まじい生命力だな」


 薬....このライオンは医者なのか、この見た目で?


「あんた医者か、私の傷を治してくれたのはあんたか?」

「イシャ?俺は『ブエル』だ。一応村1番の治療師で通ってる、よろしくな」


 ライオンのブエルはそう言うと私の頭から手を離し、紙が付いているボードを手に取り、何か書き始める。


「そうか....ブエルさん、傷の治療ありがとう、助かった。早速ですまないんだが色々聴きたいことが......」


 そう言って起きあがろうとする私だったが、ブエルは私の体を片手で抑え、ベットに押し寝かせる。


「起きんのはまだダメだ、安静にしとけ」


 怪我はもう治った様だから情報収集をしたいのだが......随分と厳しい医者に当たってしまった様だ。


「じゃあ寝ながらでいい、まずここはどこなんだ?」

「ここか、ここはロヴァエミ村。獣王国の最北端に位置する村だ」


 獣王国......当然知らない国名だ。

 王国という事は王が統治する国.....こいつら動物人的にも王は人ではなく動物人か?


「人は住んでいないのか?」

「人間か、人間はこの村にはいない。そもそもこんな所にまで人間が来る事なんて滅多にないからな」


 よほどの辺境なのか......できれば同じ人間に色々聴きたいのだが、難しそうだな。

 話をしている間に、ブエルは紙に何かを書き終えた様でボードを脇に挟む。


「よし、とりあえず今日1日はそのまま安静に過ごしとけ。もしまた傷が開いたら、この塗り薬を塗っておくんだな」


 そう言ってブエルは、テーブルの上に置かれている布袋から瓶を取り出して置いた。


「それと気分が悪くなったらこの飴を舐めてみろ、一気に元気になるぞ」


 さらに袋から、飴玉の入った瓶を置く。


「何から何まですまないな、その塗り薬は何なんだ?」


 布袋を肩に掛け、こちらに振り向きブエルは答えた。


「ん?ああそうか、人間には珍しいのか。俺が調合して作った薬だ。内容は......塗る霊薬だと思え。獣王国じゃ、霊薬よりもこっちの方が主流なんだ」


 霊薬......まだまだ知らない事だらけだな。


「それじゃあそっちの飴も....その霊薬みたいなやつってことか?」

「いや、これはただの飴だ。食ったらなんか元気出てくんだ、俺は」


 要するに自分の大好物ってだけか。

 まぁ長引く戦闘だと甘味が欲しくなるし、ありがたいが.......ライオンの頭なのに飴が好物?


「それじゃまたな。腕が光るって聞いたが、本当なら今度見せてくれよ」


 そう言ってブエルは扉を開け、外に出ていく。

登場人物

【ブエル(男)】

ライオンの顔を持つ村一番の治癒師、ライオンの顔をしているがヤギに似た足を持ち、星型の模様が入った白衣を着ている。

甘い飴が大好きで、広めようと診察した相手にお気に入りの飴を配ってる。

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