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五人の『覚醒者』は異世界へ~五つの物語~  作者: オルレアンの人
最終章『転生軍人』

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52.戦士隊

 小さい人型生物達が悲鳴を上げている。


 洞窟内で見た、解体されていた人並みの大きさを持つ狼に似た、様々な動物の顔を持つ人型の獣達が、小さい奴らと戦っていた。 

 そいつらは革装備を着ており、統率の取れた動きを見せ、槍や弓、剣などで次々に小さい奴らを殺していく。


「いたぞ!!奥だ!!」


 叫んだのは私と同程度の身長で、カバンを背負い、剣を持つ狼顔の獣だ。

 巨体生物は部下を殺された怒りでか叫び声を上げ、獣達へと攻撃を仕掛ける。


「盾!」と狼は仲間に命令し、盾を持つ狼や蛇などの顔を持つ奴らが前に出て、盾を構える。

「<要塞>!!」と、盾を持つ2人は声を上げ、勢いよく振られた斧を受け止める。

 ぶつかり合う金属音が洞窟内に響き、火花を散らす。

 盾は傷一つ付かずに斧を弾き返した。


「ヌ゛ッ......!!!」


 あのパワーを受け止めた......動物人とでも言おうか、動物人達はどれほどの力を持っているのか、計り知れない。

 それと、それに耐えうる盾の耐久力.......鉄製にしか見えないが一体どんな仕組みなんだ。


 斧を受け止められた巨体生物は、さらに攻撃を繰り出そうとするが、盾の後ろより弓を持つ、緑色の動きやすそうな服を着て、腰に矢の入った筒を付けている猫の顔の動物人が矢を放った。

 その矢は巨体生物の左眼を射抜き、潰す。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!!」


 巨体生物は斧を手放し、左目に手を当て悲痛な叫び声を上げながら後ろによろけた。


「今よ!!」


 猫は喋り、その言葉を聞いた王冠を被った鳥......フクロウに近い顔をした動物人が、羽の右手に持つ剣で巨体生物の胸を斬る。

 かなり深く斬られたのか、巨体生物から血飛沫が激しく飛び散った。

 そして、巨体生物から声が消え、そのまま後ろに倒れ込んだ。


「....報告」


 いつの間にか小さい方からも声は消えており、静まり返った空間で最初に口を開いたのは、戦闘中に命令していた狼だ。

 口ぶりからして、動物人達のリーダーだろうか。


 狼の声を聞いた他の動物人達は次々と、「制圧」「怪我人なし」「他にゴブリンはいないようで」などと声が上がった。

 それを聞いた狼は私の方をチラリと見ると。


「ご苦労....全員、他にゴブリンがいないか捜索を開始、ストラスとレラジェと......いや、2人だけ残ってくれ」


 狼が全体に指示を出すと、先ほど巨体生物の眼を弓で射抜いた猫と、剣で切っていたフクロウが狼とこの場に残り、共に私の方へ歩いてくる。


 先ほどの戦闘からして対覚醒者部隊程ではないが、相当な強さなのは間違いない。

 自身の安全のためにも銃を見せ、お前達を殺せる力を持つことを認知させとくべきか......いや、そんな事すれば良好な関係は絶対に築けないな。

 それに、小さい奴や巨体生物は問答無用で殺していたが、私にまだ攻撃してこないという事は敵対するつもりはないという事......と、信じるしかないな。

 私はそっと腕を背に隠し、銃化を解除した。


「大丈夫か?人間に見えるが....なんでこんな所にいるんだ?」


 近づいてきた狼は私のすぐ目の前で止まり、声をかけてくる。


「あぁ、少し頭がくらくらするが、だいぶ落ち着いてきた.....」


 私は少しふらつく足を、真っ直ぐに立たせ、余裕のある姿勢を見せる。

 実際は今すぐに寝転がりたいくらい、頭へのダメージが大きい。

 だが念のためではあるが、弱っているところを見せないでおきたかった。


 しかし、今確かに人間と言ったな......先程の奴らといいこの動物人といい、これだけ未知の生物大集合とくれば、疑いようもなくここは私のいた世界とは違う....異世界だな。

 そんな世界にも一応人間がいるということか。


「すまないな、助かった」

「飲むか?」


 そう言って狼は、背負っていた鞄から何らかの液体の入った革の水筒を私に差し出す。

 できれば自身の持つ水の節約のために飲んでおきたい所だが、怪しくて飲めないので私は携帯している水を取り出し、大丈夫とジェスチャーで伝える。

 無事伝わったようで、狼は水筒を自分の鞄に仕舞うが、私の取り出した水を興味深くフクロウが見つめていた。

 そんなフクロウの事は気にせず、狼は喋り始める。


「状況を見るにゴブリン共の巣に潜り込んでいたのか?......見た所武器を持っていないようだが魔導士って奴か?」


 ゴブリン......あの緑色のやつらの総称か?

 それに......。


「魔導士?申し訳ない、逆に聞くのだが貴方達は一体」


 魔導士なんて聞いたことがないが、この世界の軍隊的存在の名称なのか?


「俺らか?俺の名前は『マルコシアス』、ロヴァエミ村戦士隊のリーダーだ」


 ロヴァエミ村....当然こっちも聞いたことがないな。

 それと戦士隊.......こっちが軍隊の名称か?


「ロヴァエミ村......失礼、私は日本国自衛軍第06対覚醒者部隊ハバヤ所属、高橋武智です。真っ暗な吹雪の中遭難してしまい、近くの洞窟に避難し、突然襲いかかってきた奴ら......ゴブリン?と交戦しました」

「にほん?かく...せい...しゃ......?すまんが人間世界の情報に疎くてな、よく分からないが嘘は言ってなさそうだ。にしても真っ暗な上吹雪か....そりゃ災難だったな。とりあえずよろしくなタカハシさん」


 ひとまず友好的な関係は築けたのか......ようやくまともにこの世界の情報を得られそうだ。

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