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五人の『覚醒者』は異世界へ~五つの物語~  作者: オルレアンの人
最終章『転生軍人』

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51.希望の弾丸

「っ......!」


 力を振り絞りなんとか立つが、先ほどの一撃がかなり効いた....。

 恐らく脳震盪。

 めまいがし、頭がふらつき上手く立てず、近くの壁にもたれかかる。


 腕を銃にし構えようとするも、立つのがやっとでとても構える余裕はなかった。

 ましてや、めまいでとても狙いを定められない。

 そんな私の事など構うことなく、巨体生物は手に持つ巨大な斧を私に向かって振ってきた。


「......くっ!?」


 避けようとするも、頭がふらつき上手く体を動かせず遅れ......一瞬死を確信した。

 しかし、不思議と無意識のうちに体は動き、間一髪避けれたが、そのまま私は倒れた。


 自分でもなぜ避けれたのかよくわからないが、奇跡的に命がまだある。

 奴が再び攻撃してくるまで、神がくれたこの短い幸運の時間でこの絶望的状況を何とか挽回できる方法はないか、死に物狂いに頭を働かせた。

 倒れていると頭が良く働き、そのおかげで激痛が走りふらふらと役に立たなくなった頭が使い物になりはじめる。


 まず結論から考えると、この巨体生物は覚醒者ではなく小さい人型生物同様、未知の生物だろう。

 最悪主人さえ話しの通じる奴なら交渉でなんとかすることはできると考えていたが、何も言わずに殺しにくるのなら、話し合いを望むだけ無駄だろう。

 となればもう逃げるか戦うしかないが、逃走は出口を塞がれている以上厳しい。

 かと言って戦って勝てるかと言えば......数の差で無理だろう。

 だからといって、何もしないまま死ぬのは真っ平ごめんだ。


 最後の希望は私の『力』、すなわち腕の銃だ。

 一部の動物は、銃声が聞こえた瞬間に動きを止め、怯え、逃げる。

 こいつらが銃を知らないのであれば、同様の反応を見せる可能性はある......限りなく可能性は低いが。

 だが仮に、こいつらの知らない未知の武器でこの主人を殺したらどうだ......奴らは警戒して私に手を出さなくなるかもしれない。

 それしかない、もっと考えればより良い選択肢が生まれるかもしれないが、この短い時間ではこれ以上は無理だ。


 この間2秒弱、私は腕を銃に変え目の前にいる巨体生物に狙いを付ける......しかしめまいの影響で上手く照準が定まらない。

 しかし巨体生物は当然、照準が定まるまで待つわけもなく、雄叫びを上げ再び斧で襲いかかってくる。


「喰らえ......!」


 奴の攻撃が届くまで1秒、照準が定まっていないが私は2発の弾丸を放つ。

 薄暗い洞窟内に瞬間的な閃光が2回走り、銃声が轟く。

 銃の反動で頭に受けた傷が響き、頭蓋にヒビが入っていくかの様な激痛が走り気絶しかける。

 しかしなんとか意識を保ちつつ、私は撃った弾丸の結果を見た。


 弾丸は、1発は巨体生物の右頬を掠めて壁に当たり、もう1発は左肩に当たったようだ。

 突然の光と轟音、そして肩に喰らった弾の痛みが効いたか、巨体生物は斧を持ったまま右手を左肩に押し当て、痛がっている様子で2歩下がった。

 その巨体から銃が効かない可能性もあり得たが、反応を見るにダメージはしっかりあるようだ。


 小さい方は見るからに何が起こったのかわかっていない様子で、音に警戒し尖った耳に手を当てる者や、目を瞑り続けたりしている者もおり、明らかに私に警戒している様子だ。

 このまま警戒して私に手を出さず、帰してくれる.........なんて都合の良い事は起きず、巨体生物はこちらを睨み付けると、再び斧を構え私に向かって走り出す。


 すぐに腕の銃を奴に構えるが、どう考えても間に合わない。

 巨体生物は先ほどよりも動きが速く、私が奴にしっかりと狙いを定めて撃つのでは、撃つ前に斧で斬られて死ぬ。

 狙いを付けずに撃ったところでせいぜい腹にでも当たって少し怯んで終わりだ。

 

 完全な運頼み、一か八かの頭への直撃を祈るしかない。

 奴が来るまで0.5秒.....動く奴に狙いを定めず、万全の状態じゃないこの体で頭に命中させるなんて、可能性としては1%もない、0.が何個付くか。

 しかしやるしかない。


「....ぉぉおおおおっっ!!!!」


 柄にもなく声を上げ、腕の銃から弾丸を発射しようとした。

 走馬灯を見る余裕すらない生と死の狭間、考えてもない事が脳裏に流れてくる。

 結局この世界はなんだったのか、こいつらはなんなのか、あの女神の目的は、魔王とは.........わからない事だらけの中、私の二度目の人生は今、終わろうとした。



その時だった。



 出口を塞いでいた小さい人型生物達が悲鳴を上げた。


「んっ...!?」

「ア゛!?」


 突然の悲鳴に気を取られた私と巨体生物は動きを止め、その声の方を見る。

 そこには先程見た、死体の狼に似た奴らがいた。


 奴らは武器を持っており、小さい人型生物達を次々と殺していた。

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