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五人の『覚醒者』は異世界へ~五つの物語~  作者: オルレアンの人
最終章『転生軍人』

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47.極寒世界


 状況を整理しよう。


 私は女神を名乗る女によって異世界とやらに飛ばされた....いや、転生したらしい。

 そして目を開き、辺りを見渡すと....そこは極寒の世界だった。


 服は転生前....支給された軍の灰色の戦闘服を着ている。

 主に都市部での覚醒者制圧任務ばかりだったため、こういった極寒や灼熱などの特殊環境への備えがない。

 服を貫通して冷気が肌を凍らせてくる。

 装備品も死んだ時と変わらない、食料と水は1日分だけ腰のポーチに入っている。


 ひとまず最優先目標は寒さを凌げる場所の捜索、水の確保、次に食糧の確保だ。

 人里が近くにあればそれがいいが、辺りを見渡しても見えるのは暗闇、灯りはなく僅かに山が遠くに見えるくらいだ。

 かまくらでも作って一夜明けるまで待ちたいところだが......作ってる間に凍死だな。

 ここが何処だかわからない状況で、この猛吹雪の上、暗闇の中を動くのも危険だ。


 だがこのままここにいても死ぬだけなら、動くしかない。

 道に迷うもクソもないが、今いるこの場所は念のためにわかっておきたい、せめて何か目印になりそうなものがあればいいが......。


 そう思い再度山の方を見ると、薄っすらと麓に木々が見えた。

 丁度いい、木に目印を付けるため私は歩き始める。


 数十秒で木に辿り着き、持っているサバイバルナイフで木にバツ印を刻む。

 刻み終え、木々の奥を見ると光のない暗い森が広がっていた。

 吹雪を凌そうではあるが、真っ暗な森の中に入るなんて馬鹿な行為はできないため、木々に沿うよう右へ歩き始める。


 ライトは....点けても点けなくても大して変わらないか。

 電池も無限ではない、補充できるかどうかもわからない今の状況なら、なるべく使わずに行くべきか。

 分単位で左に生えている木に印を付けつつ歩き、その間思考を止めないためにも考え事をしていた。


 まずここは何処だ。

 辺りは暗く、猛吹雪の極寒世界だということしかわからない。

 ここは本当に異世界なのか、それとも実は異世界などではなくロシアのシベリア地帯か何処かではないか。

 それとも、そもそも覚醒者との戦いや女神だなんだは、記憶にはないが冬季訓練中に死にかけて見た妄想だったのか....いやそれはないか。

 どちらにせよ現時点じゃ判断材料が無さすぎる。

 人を見つけて聞くまではわからないか....。


 そんな事を考えながらしばらく歩くと、森の奥に薄っすら明かりが見え、立ち止まる。


「灯り....人がいるのか?」


 ようやく人里を見つけれたかと思ったが、人里にしては灯りが小さい。

 だが灯りがあるという事は人がいる証拠だ、向かわずにはいられない。


 灯りの発生源は森の奥、森の暗闇の中では歩くのもままならない。

 そのうえ野生動物もいる可能性がある。

 そのため、致し方なく小型の懐中電灯を取り出し前方を照らす。

 そして周囲を警戒しつつ森へと入っていく。


 森の中は木々のおかげで吹雪が凌げるが、懐中電灯の光で照らしていない周囲は灯りのない暗闇の世界。

 訓練で鍛えられているとはいえ、人喰い獣が既に近寄ってきているのではと考えると、少し恐怖がよぎってくる。

 

 しかしそれは取り越し苦労で終わり、灯りの元まではすぐに辿り着いた。

 どうやらこの辺りの森の層は浅い様だ。


 よく見るとそこには洞窟があり、中から灯りが漏れていた。

 慎重に洞窟の入り口を観察すると、灯りの正体は壁に掛けられている松明だった、人はいない。

 だが、松明があるという事は少し前にここに人がいた証拠だ、ここで待っていればまた戻ってくる可能性もある。


 そう思い洞窟に入り、腰を据え一休みする。

 洞窟内部も寒いが外よりはマシだ。

 それに焚き火用と思われる跡があり、掛けてある松明で跡に置いてある木材に火をつけ暖をとれた。


 凍りついていた体を温め、再度状況を整理する。

 まずは持ち物だが、食料と水は先ほど確認した通り1日分しか持っておらず、装備品はハンドガン用のマガジンが一つあるが、肝心のハンドガンは死ぬ直前に手放してしまったせいか手元にない。

 武器になりそうな物はサバイバルナイフくらいだ。

 あと役に立ちそうな物は懐中電灯とワイヤー......一瞬喜んだがすぐに壊れている事がわかる程大きい穴の空いた通信機。

 何もないよりはマシとはいえ、絶望的な状況だな。


 人が来なくとも、ひとまずはここを起点に行動するべきか......朝になり次第、周囲の捜索と食料と水の確保、それとこの極寒の地を歩ける防寒装備も欲しいな。

 獣がいれば毛皮が手に入るんだが...。


 そう今後の事を考えていた思考は、次の瞬間に一瞬で消した。


 洞窟の奥から足音が聞こえたのだ。

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