表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
五人の『覚醒者』は異世界へ~五つの物語~  作者: オルレアンの人
第四章『転生追放』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/71

39.お待たせ!

 あれから何時間経っただろうか。


 全てが暗いこの世界では時間の感覚も無くなってしまう。

 カイドラッシュから逃げ続け、足が丸太の様に重い。

 何とか木の上に登って少し休めているが、下には未だにカイドラッシュが彷徨いている。

 犬の姿のため嗅覚が優れているのか、俺がまだこの辺りにいる事に気付いているのか、木の周辺をぐるぐると、地面を嗅ぎながら歩いている。


 俺が上にいる事に気づくのも時間の問題だろう。

 不意打で1匹殺れるかどうか。

 だが奴らは5匹いる、1匹殺したところで俺が死ぬ事に変わりはない.........流石にここまでか.....。


 (ハイド達は間に合わなかったか.....それとも......ミチオに見捨てられちまったか......当然だな、俺はあいつを一方的にパーティーから追い出した上で斬ろうと....殺そうとした......)


 こんな俺なんて普通見捨てるよな......ただ最後に、あいつに......謝りたかったな......。

 そんな事を思いながら剣を持ち、ちょうど真下にいるカイドラッシュを見る。

 体力が限界の上、逃げても逃げれないこの状況....せめて1匹殺して、醜く抵抗してやる


 俺は木の上から飛び、カイドラッシュを真っ二つに斬ろうとした.....しかし。


「っ!!」


 カイドラッシュは間一髪のところで剣を避けた。

 暗く、視界が悪くて外したわけではない、このモンスターの直感が優れすぎているんだ。

 

 避けたカイドラッシュは遠吠えをし、残る4匹のカイドラッシュを呼び寄せ、俺は囲まれてしまった。


「くそ.........」


 もはや逃げ切れる足はなく、奴らを倒せる腕もない。

 もはや俺は奴らにとってはただの餌でしかない......無謀な間抜けにはお似合いの最後かもな。


 .....いや、何で諦めてるんだ俺は。

 これはケジメだろ、何諦めて楽になるとしてんだ。

 俺は最後まで信じるしかないんだ、ミチオが.....仲間達が来る事を。

 絶対に生き延びて、俺は謝るんだ....ミチオに。


 「俺は......あいつに謝るまでは.....絶対に死ねないんだ!!」


 俺は剣を前に構え、前方のカイドラッシュに突っ込む。

 それに合わせて、囲んでいたカイドラッシュも俺を食おうと飛び上がった。


 「あああぁぁぁぁ!!!<流水剣撃>!!!」


 剣がまるで水の様に流れる緩やかな動きを見せ、後方にいた3匹のカイドラッシュを切りつける。

 このスキルは殺気を隠して切る事ができるスキルだ、カイドラッシュの直感が機能しないのだろう。

 しかし...浅い、深手にはなっていない。


 切られたカイドラッシュ3匹は、暗闇へ消え、その隙に2匹が俺の左手と右足に噛み付く。


「ぐああッ!!!!....くっそッ!!!!!」


 激痛に耐えながら剣を振り何とか追い払おうとするが、足に噛み付いてきた1匹は離れたが、もう1匹は左手に噛みついたまま離れない。

 剣の柄頭で噛み付いている頭を叩き、ようやく手から離れ、離れたカイドラッシュはまた森の中へと溶けていった。


 噛まれた足と手から血がポタポタと地面に落ちる。

 昨日噛まれた右肩から大量の血が流れていたこともあり、血を流しすぎ目眩が起き、どれだけ息をしても呼吸が安定しない。


 何とか落ち着こうとするも、もう1匹のカイドラッシュが姿を表す。

 その姿は熊拳<ベア・フィスト>だ。

 一撃で俺を倒そうとしているのか、いつの間にか戻ってきた4匹のカイドラッシュが、俺を再び囲み、熊拳<ベア・フィスト>の姿をしたカイドラッシュから気を逸らす様に、俺を挑発する動きをしている。

 熊拳<ベア・フィスト>はのそのそと俺に近づき、腕を引いた。


 決める気だ、その一撃で俺を殺そうと。


 だが、俺はまだ諦めない、諦められない。

 仲間達が来るまで、俺は何度でも、いつまでも抗ってやる。


「っ.....きやがれ....!!」


 熊拳<ベア・フィスト>の腕が俺目掛けて飛んでくる。

 受けたら間違いなく死ぬが、受け流せないのは直感でわかる、避けれないのも。


 (くそ......お前ら......母ちゃん...父ちゃん...リブ......ごめんな....)


 諦められない、諦めたくないが、迫る死を前に俺の脳裏には無意識に謝罪の言葉が浮かんだ。

 迷惑をかけた仲間達に、死んだ家族に。

 


「<猛進>ッ!!」



 目の前にいた熊拳<ベア・フィスト>が吹き飛ばされた。

 まるで強い力で無理矢理押されたように。


「た....盾.......!?」


 熊拳<ベア・フィスト>がいた位置には大きな盾を持つ男がいた。

 見慣れた装備に髪色、聞き慣れた声。


 俺は目の前の夢のような光景に足の力が抜け、尻から倒れるように座ってしまう。

 あれだけの事をしたのに、あいつは本当に来てくれた.......俺なんかを助けるために。


「っ!!......ミチオ!!!」

「お待たせ!トラジディ!!」


 ミチオの顔は、俺を憎む顔ではなく、いつもの晴れやかな顔をしているミチオの顔だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ