2.異世界転生(2)
俺は冒険者協会に向かいながら考えていた。
賢者の知識でわかった事だが、この世界にはしっかり魔法が存在する。
魔法の種類は、初級魔法→中級魔法→上級魔法→極級魔法→絶級魔法、とあり主に基本属性の、火・水・雷・土・氷・風・聖・闇を扱うらしい。
初級は教えれば誰でも使えるような魔法。
中級は主に魔法使いを本業としている者が習得している魔法。
上級は魔法使いの中でも才能のある者が習得しているレベル。
極級は魔法の才能のある者であろうと習得が困難なレベル、現在では数えられる程度しか習得者は存在しないらしい。
そして絶級...神に選ばれし魔法使い、国を滅ぼす力......現在習得者が2人しか存在しない。
威力、使う魔力量、習得難易度、それらで等級は決まっており、かつて世界に君臨していた魔王を討伐した勇者....その仲間であった全ての魔法を扱える伝説の魔導士マーリンによってこの等級は設定されたらしい。
......はい、魔王はとっくの昔に死んだみたいです。
女神様はどうやら俺に嘘を吐いてたみたいです。
まぁ冷静に考えて魔王なんて絶対に強いはずだし、戦わなくて済んだと思えばいいが。
それでもゲーマーとしてちょっと残念ではある。
(しかしなぜ女神様は嘘を吐いたのだろうか。本当は地獄行きだったけど、女神様が転生させてくれたおかげでそれが免れた...つまり転生させて俺を守ってくれたのか?)
魔王がいると知ればゲーマー魂を持つ俺は絶対にその世界に行っていた、現に今来てる。
なるほど、伊達に人を見守っていたわけじゃないな、しっかりと1人1人の性格を観察してやがる。
....っと一瞬考えたが、俺は魔王がいなくても普通に異世界転生していたと思うし違うか?
女神様が何を思って嘘をついたのか、賢者の知識でもわからないし考えるだけ今は無駄か。
そんな事を考え歩いていたら、ついに冒険者協会の建物にたどり着く。
「おお!絵に描いたような冒険者協会だな!」
かなり大きい建物だ、中からは男達の笑い声や怒鳴り声が聞こえる、そしてこの匂いは...父さんが飲んでた酒の匂いに似ている。
協会の中に酒場もあるのかもしれない。
冒険者協会、賢者の知識によればそこは冒険者と呼ばれる人たちが集まる場であり、中には国から都市から....街に住む一般人などからくる依頼が掲示板に貼られており、冒険者達は自分のやりたい依頼を選び、協会はそれを受注し依頼が完了次第報酬を払う仕組みらしい。
冒険者になるには協会の受付で登録する必要がある。
イメージ通りの冒険者協会の姿に目を輝かせつつ、緊張と興奮で心臓がドキドキしながら協会の扉を開ける。
中には如何にも冒険者の格好をした、俺と歳が変わらなそうな男や、見るからに屈強な30代後半くらいの男、トンガリ帽子にローブ姿の如何にも魔法使いの若い女性。
他にも弓を装備している男に盾を手に持っている女性、大剣を背負っている男。
依頼が貼られている大きな掲示板を見て相談している様子の冒険者達。
そしてやはり酒場が併設されている。
かなり騒々しい中、少し屈めば谷間の見えるであろう服を着てズボンを穿いているウェイトレスと思われる女性がビールを運んでいる。
運ばれたビールを飲み、大声で笑い合ってる男達に黙々と1人で食事をしている男。
ゲームの世界に入って何度も見た光景ではあるが、ゲームと違う生の空気.....本物の異世界に来た実感を...感動を味わえた。