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五人の『覚醒者』は異世界へ~五つの物語~  作者: オルレアンの人
第四章『転生追放』

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33.人魚の塩

「できました!今切りますから試食お願いしますイリスさん!」


 そう言って包丁を取り出し、パンを切る。

 ギコギコとバケットの程よい固さが伝わりながら食欲をそそらせる音を出し、切ったパンをイリスさんに1枚渡す。


「ヘェー、形も....触感も....ほとんどダメだしする所がないくらい完璧ですね」


 イリスさんはパンをじっくりと回し見て、そして一口食べた。


「....!美味しい....凄く美味しいですよ!」


 良かった....と、僕はほっと息をつく。


「ありがとうございます!久しぶりで美味しく作れるか不安でしたけど、美味しかったのでしたら良かったです」


 そう言って、僕も自身の作ったパンを食べてみた。


 けど......美味しい、美味しいけど違う。

 イリスさんが作ったパンとは何かが決定的に違う味だった。


「ふふ、もしかして私の作るパンと味が違くて驚いてるんですか?」


 僕が固まっているのに気付いてか、心を読んだ様に僕の内をイリスさんは言い当てた。


「......何かが決定的に違うということがわかりました、でも何が違うのかがわかりません......そもそもの材料が違う......?」


 これほどまでに味が違うとなると、作り方と言うよりそもそもの材料が違うと考えるべきだろう、発酵種か小麦、塩のどれかが違う。

 しかし、異世界で生活する中で塩や小麦の種類への興味はそれほどなかった。

 だから正解がわからない、これは教えてもらわなければ答えが出ない問題だ。


「答えが知りたいって顔してますね。別に教えても構わないものですので教えますよ」


 イリスさんは部屋の入り口付近に設置してある棚から何かを取り出す。

 てっきりお店の秘密の味的なものなのかと思ったらあっさり教えてくれる様子だ。

 イリスさんが棚から取り出したのは壺だ。

 その壺を台の上に置き、蓋を開けた。


「これは.......塩ですか!」


 僕は壺の中を覗き込み、中身が塩であることがわかった。

 塩の結晶.....いや粉に近い塩がびっしりと入っており、まるで塩が輝いているかの様な鮮やかさを持っている。


「これは『人魚の塩』っていう代物でして、ここら辺では滅多に手に入らない珍しい塩なんですよ」


 人魚.....確か帝国と共和国、それにローグ王国縁海の“人魚の海”に生息する亜人だ。


「名前からして、人魚と何か関係のある塩なんですか?」

「そうですよ、人魚には水を浄化する力があるらしく、彼女たちはその力を使ってどんな塩よりも綺麗で豊富なミネラルを含んだ塩を作っているらしいんです」


 現代で言えば雪塩の様な塩なのだろうか。

 浄化の力がどんなものか知らないけど、この塩の輝きは、一切の不純物の無さを感じる。


「なるほど......使ってみてもいいですか....?」


 滅多に手に入らないという事はきっと仕入れは大変なはずだ。

 そんな貴重な塩を使わせてもらえるか不安だったがイリスさんは笑顔で、「勿論!しばらく手に入らない代物ですが、1ヶ月分の備蓄はありますので好きなだけ使ってください」と言い、僕に人魚の塩の入った壺を渡してくれた。


「ありがとうございます!それじゃあまた一からパンを作りますので味見お願いします!」


 そうして僕はまた、パンを作り始める。


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