13.極上の女の味
石造りの道とレンガでできた家、自動車の音は一切なく馬車の走る音と、人の話し声が聞こえる。
「.....マジか」
正直あの自称女神の言ってる事は半信半疑で、本当に別の世界に来れるとは思ってなかった。
神の存在を信じてるかどうかで言ったら俺は信じてる派だ。
神は俺に素晴らしい『力』を与えてくれたし、死刑にこそなったが、女を使いまくったあの時はそれならに楽しかったしな。
あの自称女神の事を神だとは未だに思えないが、少なくとも神に近しい存在ではある事はよくわかった。
「さて.....これからどうするか」
服は死んだ時に着ていた囚人服だし早いところ変えたいが......まずはこの世界がどういった世界なのかを確認しておくべきだ。
もしかしたら異世界だとかではなく、過去の地球に送られた可能性もある.....まぁどっちでもいいが。
それにあの女神から貰ったらしい、新しい『力』も確認しておきてぇな。
そんな時、ちょうど俺のすぐ近くを歩こうとする女を発見した。
見たところ服装は中世らしい古臭さを感じ、恐らく一般人でだろう。
体は......悪くねぇ、20代って所だな。
「ちょいとすまねぇな、聞きたいことがあるんだがいいか?」
俺は通り過ぎようとしたその女に笑顔を作って話しかけた。
「え?あ...はい、何ですか?」
女は立ち止まり、俺の方へ顔を向けた。
顔もなかなか悪くない。
「ちょいと道に迷っててよ、ここが何処だが教えてくれねぇか?」
「あ、旅人の方ですか?変わった服装ですね」
「あー.....まぁそんな所だ」
「えっと、ここって言うのは都市の事でしょうか?」
っち、いちいち聞かずにさっさと答えろよ。
流石中世脳みそって言ったところか。
「ああそうだよ、都市の名前......あとこの国の名前も教えてくれねぇか?」
「はい、ここはヴァルノワ帝国の都市『プレティーニ』です、南に『オルレイアン』北に『リンス』と呼ばれる都市があります」
(ヴァルノワ帝国......聞き覚えがないな)
全く聞き覚えがないあたり、ここは過去の地球だとかではないマジの異世界なんだと再認識できたよ。
「そうか、あんがとな」
「いえ、よき旅を!」
.......そういや元々持ってた『力』も試しておかねぇとな。
「あ、ちょっと待ってくれ」
俺は去ろうとする女を呼び止める。
「え?まだ何か聞きたいことが?」
「ああ、人前じゃ聞きにくい事なんだ、ちょっとこっちに来てくれねぇか?」
そう言って俺は、女を近くの路地に一緒に来るようジェスチャーした。
「....?はい?」
馬鹿な女は何の疑いもなく俺について来て、路地に入った。
さっきまでいた道路からは見えない位置、周囲に人気もない。
「えっと.....それで聞きたいことっていうのは?」
「ああ、ちょっと『力』が使えないか実験台になってくれ」
「え?」
そう言って俺は女に手を向け言った。
「『拘束』」
その瞬間、現代の警察が使うアルミ合金製の手錠が女の手首を拘束する形で現れ、足にも同じ材質の手錠が足のサイズに合わした形で出現する。
そして女の口にはガムテープが貼られた。
「んんッ!?んんんんんぅぅぅぅッ!!!??」
女は突然の事に動揺しすぐに逃げようとするが、足が拘束されている事に気付かず、バランスを崩し転倒した。
「おっほぉ!しっかり『力』使えんじゃねーか!久しぶりに使ったが最高だな!」
「んんんんんんッ!?」
「やっぱこの『力』最高だぜ.....ありがとよ神!愛してるぜ!」
女は必死に叫び声を上げ助けを求めようとするが、ガムテープによって口が塞がれ声が出ない。
そんな女の元に俺は歩いて近づき、近づく程に女の怯える目はより震えを帯びていく。
(やっべぇな、6年ぶりだから抑えきれねぇなこれ.......)
俺は倒れている女を見下ろしながら屈んだ。
(本当は新しく貰った『力』とやらを試しておきたいところだが......その前に一発やっておくか......)
女の胸にゆっくりと手を近づけていく。
女は俺の手が胸に当たる前に逃げようともがき、まるで尺取虫の様に動きながら逃げ始めた。
何度見てもこの光景は滑稽だ、思わず大声で笑っちまいそうになる程に。
俺は立ち上がり、逃げる女に向かって歩く。
別に急ぐ必要はない、女の動きはあまりに遅いからその気になればすぐに追いついちまう。
それよりもこうやって、徐々に徐々に近づき恐怖を与える......追いついたら体を持って、また逃げ始めた場所に置く。
再び逃げ始めたら同じ事を繰り返す。
涙を流し、逃げても無駄だと思い知った顔をしたら.......食べ頃だ。
そうして出来上がった女は極上だ。
あまりの美味さに何度も何度も食っちまって、捕まっちまったがな。
「.....あ?」
メソメソと音がし、女の顔を覗き込みと既に女は泣いていた。
恐怖耐性があまりに無かったのか、予想以上に早い涙だ。
(まだ食べ頃ではない......が、6年ぶりでこっちも我慢できそうにない、もう食っちまうか)
俺は女を蹴り、仰向けにする。
女は手錠で拘束された腕を振り、必死に抵抗してきた。
「っち.....往生際が悪いな、『拘束』」
俺は女に再び『力』を使った。
すると暴れる女の体に一本の縄が出現する。
その縄は女の腕と背中を囲い、出現と同時に一気に縮まり、女の腕を体に拘束した。
「んんんんんんぅぅぅぅぅぅッ!!!!??」
「これやると服脱がせねぇから本当はやりたくなかったんだけどなぁ.......」
俺は仰向けの女の体の上に乗っかる。
女は泣き、必死に叫ぶ。
声の出ない声で必死に。
「さて......それじゃ始めるか.......」
俺はそう呟き、女の胸を触ろうと手を近づけた.........。
その時だった。
「おいお前何してる!!!」
背後から声が聞こえた、男の声だ。
振り向くと如何にも中世の兵士と言わんばかりの格好をした男がいた。
「っち、いいとこだったってのに!」
俺は仕方なく、ひとまず逃げる事を選び、女から立ち上がり走り出す。
兵士は倒れている女の状況を確認するためか、女のもとで立ち止まり、「誰かその男を捕らえとくれ!」と叫んだ。
それを聞いてか、俺の目の前に変な女が現れた。
渋谷のハロウィンの仮装でもしてるかのような女は、状況を確認するように俺と奥の倒れている女と兵士に目をやった。
すると俺に向かって、「止まりなさい!さもなくば魔法を叩き込みますよ!」
そう叫び、ヘンテコな形の杖を構える。
もしここがドラハンみたいなファンタジー世界だとしたら、あれが魔法使いってやつか?
どんな魔法が存在するのかしらねぇが、体格差のある俺に恐れる事なく言ってくる当たりヤバそうだ。
「『拘束』!!!」
何かをされる前に、魔法使いらしき女に俺は『力』を使う。
するとその女も、先ほどの女と同様に手錠と縄で拘束された。
「んんっ!?」
女は何をされたのか理解できてない様子で、俺はそのまま女の横を通り抜ける。
(よし......俺の『力』がありゃ銃のないこんな世界楽勝だな)
そう思った時だった。
「<脚力強化>!<疾風>!」
後ろから再び男の声が聞こえる、だが先ほどの兵士の様な男とは違う声だった。
後ろをチラリと見れば腰にナイフを差す、動きやすそうな軽装をした男が兵士のすぐ近くに立っていた。
だが次の瞬間、男は瞬間移動でもしたかの様に俺の目の前に現れ、俺の顔を蹴り上げた。
その予想外の蹴りの強さに、俺の意識は.....遠のい......。




