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五人の『覚醒者』は異世界へ~五つの物語~  作者: オルレアンの人
第二章『転生犯罪』

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12.死刑囚の異世界転生


 目が覚めると、俺は謎の空間にいた。


 あたりは真っ白だとしか言えないほど白く、どこまでも続く白い世界の上に俺は立っている。


「なんだここ......」


 よく覚えてないが、俺は死刑で死んだはずだ.......。


「まさか、ここが地獄か?」


 俺がした事を考えればどう考えても死んだら地獄行きだろうが.......地獄ってのはこんな真っ白な空間なのか?

 どこを見ても白しか無いこの空間、とても俺が想像する地獄とは思えねぇ。


 ......止まっていても仕方ない、とりあえず歩いてみるか。



 12時間くらい経ったか、永遠に続くかの様に感じた独房生活のおかげか、時間は割と正確にわかる。

 ずっと歩き続けたが相変わらずこの空間は何にも無い。

 それと、歩いていて疲労を感じなければ喉も渇かないあたり、時間が止まっているかの様な感覚だ。


 もしこれが地獄だと言うなら想像よりもだいぶ楽なもんだ。

 まぁ独房生活と違っていつ終わりが来るのかわからねぇってとこが罰になるのかもしれねぇが。


 そんな事を考えていると、天井に大きな穴が出現した。


「あ?」


 穴から何かが出てくる。

 女だ。

 久しく見ない女に、俺は思わず舌を舐めた。


 しかし気になるのは、女には羽が生え、何も模様のない白い仮面をかぶっている。

 ここが本当に地獄......あの世ならありゃ天使ってやつか。

 しかし身長は160cm程度.....明らかにガキだな。


 その天使らしき奴は床に降り立ち、こっちに近づいて来た。


「おい、てめぇ誰だ」


 俺がそう言うと、その天使らしき奴は動きをピタッと止めた。


「......てめぇ?あぁはいはい....あなた確か今日、死刑執行された長崎って人ですね」


 その女は仮面で表情はよくわからねーが、俺の『てめぇ』発言にイラついたのか、声が明らかに不機嫌だ。


「へぇ、俺の事知ってんのか」

「まぁ......昔から有名でしたし」


 天使らしき奴と喋っていると違和感を感じた。

 まるで普通の人間と喋ってる様な感覚がする、天使ってのはそういうもんなのか?もっと上位存在的なイメージがあったが。


「で、てめ....お前は誰だ?」

「お前って......私は女神です。少しは神と接するに相応しい態度を取ったらどうですか」


 天使とも人間とも思えていたそいつは、まさかの女神。

 思わず鼻で笑っちまった。


「へぇ女神ねぇ.....その女神様とやらが俺に何の用だ、てかここはどこだ」

「あなたと問答とかはしたく無いので手短に済ませますね」


 俺の質問に答えず、自称女神は相も変わらず不機嫌そうに答える。


「簡単に言うとあなたは現実で死刑が執行され死にました。死んだことによりあなたには転生の権利が生まれたんです」


 転生?何訳わかんねーこと言ってんだこの女。


「何だその転生とやらは」

「こことは違う世界......ドラハン知ってますよね、あんな感じの世界に行けるんですよ」


 ドラゴンハンター....確か竜族の魔王を勇者が魔法だとかを使って倒すゲームだったか。

 興味はないが、捕まる前にどこかで聞いたことはある。


「断ったらどうなるんだ」

「地獄に行ってもらいます」


 自称女神は淡々と答えた。


 くっだらねぇ。

 何でこんな女の言うこと聞いて訳わかんねぇ世界に転生しなくちゃいけねぇんだよ。


 それよりも......まぁせいぜい女子高生くらいといったところか。

 あの女に『力』使って拘束して、1〜2発殴れば自分の立場を理解して俺に主導権が.....「一応言っておきますけど、この空間ではあなたは『力』を使えませんよ」

「......っち」


 まるで心を読むかの様に俺の動きを封じた。

 いや、もしかしたらあの女の嘘の可能性があるが......試してみるか......。


 「それで話は戻しますけど、転生すれば特典として、新しい『力』に似たものが渡されます」


 俺は『力』を使おうと動こうとしたが止めた。


「へぇ〜、そいつは例えば女を全員支配できる『力』....だとかか?」

「.........まぁ可能性はありますね」


 その異世界.....さっきのドラハンみたいな世界発言......恐らく文明レベルは中世だとかか。

 もし俺がそんな『力』を持てたら、現代の警察と違って、猿並みの知能しかない中世人なら永遠に犯罪し放題じゃねーか?

 はは、想像するとだんだんワクワクしてきたぜ。


「よーし、お前の望み通り転生してやるよ」

「そうですか、ではそこに描いてある円の中に入ってください」


 そう言って自称女神は俺の前あたりの地面を指差す。

 そこには先程までなかったはずの、巨大な赤い円が描かれていた。


 俺は円の中央に移動して、「おら、入ったぞ」

「それじゃ来世でお元気で」


 自称女神はそう言いながら指を鳴らし、床が光り始める。


 俺はそのまま光に包まれた。


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