第一章番外編 お昼のニュース〜東京都を襲った覚醒者〜
「こんにちは、ニュースのお時間です。........先日東京都を襲ったテロ事件ですが、一夜明けるも、街は未だ電力の復旧が見えない状況との事です」
女性アナウンサーがそう言うと、ニュース画面は破壊の跡が生々しく残っている東京の、ある街の姿が映った。
「現在も自衛軍により、被害を受けた地域の方々の救助活動が続いておりますが、現時点で行方不明者は23名、死傷者の数は257名を超えているとの事です」
続いて映像は1人の男の顔写真と、手から雷の様な光を放つその男の映像に変わった。
「今回のテロ事件を起こした『アウェイクニング・ドミニオン』所属、国際指名手配犯『雷渦 煌』容疑者は現在も逃走中、自衛軍対覚醒者部隊が追跡しているとの事です。専門家によりますと、雷を操る危険な『力』を有していると見られております。事件当時は都市機能が一斉に停止し、施設や鉄道網、通信設備にも大きな影響が出ました」
画面は再びスタジオに切り替わり、女性アナウンサーはカメラから視線を外して、隣に座る男性へと向けた。
「池谷さん、今回のテロ事件....どう見ますか?」
女性アナウンサーが話を振ると、覚醒者犯罪専門家というテロップが出ている男が口を開いた。
「えー....そうですね。今回のテロ攻撃、まず目的が不明な点が気になりますね。『覚醒者』による犯罪は『力』を使いたい....という理由で起こる事が多々ありますが、今回のテロを起こした雷渦 煌は国際テロ組織『アウェイクニング・ドミニオン』所属という事もあり、何か目的があったことは確実でしょう。ではそれが何か....」
専門家は、過去の『覚醒者』事件が書かれたホワイトボードを指し棒を叩いた。
「過去に『アウェイクニング・ドミニオン』所属の『覚醒者』が起こした事件、例を挙げると中国で起きた集団大失踪事件。犯人は人形を作り出す『覚醒者』であり、その『力』は人の命を消費して発動するらしく.....生贄のために起こしたものでした」
「という事は、今回のテロ攻撃もその様な目的があったと」
「可能性としては大いに。他の『アウェイクニング・ドミニオン』所属の『覚醒者』が起こした事件も、その殆どが何かしらの目的があった事がわかっています」
「なるほど、池谷さん。では今回のテロ攻撃....その目的は何だと考えておられますか?」
女性アナウンサーが尋ねると、専門家は少し考え込んだ。
「そうですね.....今回の攻撃は主に自身に攻撃してくる警察の特殊部隊と自衛軍に向けられたものがほとんどで、市民の被害はその巻き添えによって出てしまったものでした。つまり一般市民を殺そうとする目的は無かったと思われます。そして、最も被害が出た街の電力損失....雷渦 煌の雷の『力』を考えますと、もしかしたら...自身の『力』を補充するために行なったものではないかと、私は考えております。まだまだ未知の部分の方が遥かに多い『力』、雷渦 煌の詳しい『力』は判明していませんが、仮に....吸収した電気を自身の『力』にする.....といった『力』であれば間違い無いでしょう」
「なるほど、ありがとうございます」
女性アナウンサーはほんの少し頭を下げ、手元の原稿を捲った。
画面は次に首相官邸、そして首相の姿が映った。
「今回の事件を受けまして政府は、我が国の安全を第一に、『覚醒者』を国内から絶対に逃さない。必ず然るべき裁きを与える....とコメントしました。繰り返しますが『覚醒者』は現在も逃走中、見かけた場合慌てずに避難し、すぐに自衛軍への通報をお願いします」
画面はまた変わり、次はメガネをかけた高校生くらいの男の顔が映った。
「それと、テロ攻撃を受けた街に住む高校生の男子1名が自宅で心肺停止の状態で発見され、死亡が確認された事件ですが、今回のテロ攻撃との関連性は未だ不明との事です。.....死亡された高校生の通う地元の高校、朱雀高校では本日生徒は自宅待機となりオンラインで授業を行ったとの事です」
「今回対応に当たった自衛軍の第04対覚醒者部隊『ハバキリ』は過去に巨大な怪物に変わる『力』を持つ『覚醒者』相手に勝利した部隊ですが、今回は部隊員の1名が死亡し残り2名が重傷を負い敗北してしまいましたからね。普段起きる『覚醒者』犯罪とは非にならない警戒が全国でしばらくは必要でしょう」
「そうですね....」
女性アナウンサーは小さい言葉で頷いた。
「それでは次のニュースです。今日午前広島で起きました......」
見たいものは見たので、俺はテレビを消した。
第一章『転生賢者』編のご愛読ありがとうございました!
次回より第二章『転生犯罪』編スタートです!
次に異世界へ送られたのは...まさかの.......。




