帰るべき場所進むべき未来
ミュリエの空は、穏やかだった。
リュミエとシェイドは、観察棟の広場で静かに歩いていた。
リュミエが歩き、シェイドがその歩幅に合わせる。
まるで、互いに学び合い、互いを照らす“光と影”のように。
だがその空の下、ひとつの“終わり”が近づいていた。
「エリス様からの要請書が届いた」
フェルナーが手にした封書には、ミュリエの運営委員会に向けてこう記されていた。
『ミュリエで確立された命の可能性――その記録と実証をもって、次は帝都にて議を起こす』
エリス・フォン・ベルグランド。
彼女がかつて残したこの地での実験と理念が、ついに中央政治の議題に登るという意味だった。
アリアが呟く。
「戻るのね……この地で育まれた“答え”を、今度は帝都の“問い”に返す時が来たのね」
リュミエはそっと触感板に記した。
「マモリタイ キモチ ツタエタイ」
その言葉に、ネイが頷く。
「なら、一緒に行こう。……僕たちが信じた命を、次の場所へ」
こうして、ミュリエの物語は“次の扉”へと繋がっていく。
――舞台は再び、帝都へ。
そこでは、王太子レオナルドによって引き起こされた婚約破棄事件を経て、
王国と帝国の間に緊張が高まりつつあった。
そして、クラウス・フォン・アルヴィオン第三皇子と共に、
《帝国再建の象徴》となりつつある一人の女性――する存在”が、ここにもうひとり現れた。




