第77話 うちの子がお世話になります
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第77話 うちの子がお世話になります
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なんとまぁ、うちのパーカーがリーム・バーダンを連れてきてしまった。
なんでも隠し通路を出たところで野ネズミの目を通して城内の様子を見ていたら、リーム・バーダンともう一人が出てきたらしい。
もう一人はリーム・バーダンの叔父のルクルットだった。その首はパーカーが持ち帰っている。
「まさかパーカー君に大将首を持っていかれるとは思っていなかったよ。アハハハッ」
リーム・バーダンはまだ首になってないですからね。
隠し通路から城内に入り、城門を開けたドルド・ヘインが豪快に笑った。厭味のない笑い声で、手柄を横取りされた遺恨はないようだ。
「手柄を取られた代わりに、一つ頼みがあるんだが」
「な、なんでしょうか……?」
お偉いさん(騎士)たちが集まっているので、パーカーは体を小さくしている。
俺なんかいつも体を小さくして、空気になっているんだぞ。
「ん? 何か?」
「なんかおかしなこと考えていなかったか、ボス?」
「タタニアは何が言いたいんだ?」
「……なんでもない」
おっといけない。今はドルド・ヘインのターンだったな。
「俺の娘を娶ってくれないか?」
「え?」
「パーカー君なら娘を大事にしてくれると思うんだ。どうだろうか?」
パーカーが青い顔をして、こちらをチラチラみてくる。それは助けを求めているのか?
しかし驚いた。ドルド・ヘインの心情は分からないが、親に捨てられた子供を娘婿にしようとはな。
パーカーと行動を共にして何かを感じたのか? 他に考えられるとしたら、パーカーを通じてシュラード家と縁が繋がることか?
詭道のグラードンやクスリム・アッジといった頭を使って戦をする人なら回りくどいことをしてきそうだが、ドルド・ヘインはそういったタイプには見えない。
とりあえず、俺がひと肌脱ぐか。
「それはいい! パーカーも今回の戦功で騎士に引き上げるから、新しく家を興すといいよ!」
俺が口を開いた瞬間、トルク様が話を進めてしまった。
おぉぅと思わず声が漏れたよ。
「それはありがたい! トルク殿、いや、トルク様、何卒よしなに!」
まあいいか。パーカーもそろそろ成人だ。独り立ちする時期としては、丁度いいだろう。
「とりあえず、パーカーは成人したらすぐに騎士に叙するから、それまでは騎士(仮)だ。家を興す際は、私の猶子にしてから家名を与える。ノイス、そんな感じでいいかな?」
「パーカーを取り立てていただき、感謝いたします。トルク様のご配慮に不満などありません。パーカー、よかったな」
「え、あ……か、感謝いたします!」
パーカーは来年成人だ。その翌年にはホッタンも成人する。毎年騎士に叙される子がいて、楽しみだ。
それに、騎士家の養嗣子に送り込む子もいるから、これから毘沙門党の勢力はドンドン広がっていくことになる。
リームを捕らえて、今回の戦いは終了した。
まだ敵対勢力はいるが、雪が降り出したから強制終了になったというべきか。
とはいえ、やっておかないといけないことがある。今回接収した城に城代を置くことだ。
まず、ダルバーヌ家の本拠地であるジャバス城には、トルク様の弟であるシュラーデンさんを配置する。
シュラーデンさんは戦いでは大した活躍はしていない。でも、内政面では地味なことをコツコツやってくれる人だ。そういった姿を見ている家内の騎士たちからは慕われている。何よりもトルク様の肉親だから騎士に叙するのは確定ですよ。
補佐に詭道のグラードンを置くことになった。
このジャバス城にはソト港もあることから、来年になったらソルバーン家の本拠地として使う予定だ。
あと、シュラーデンさんの小姓的な役割に、毘沙門党員《うちの子》をつける。ぶっちゃけ、グラードンの監視だな。
ラントール城の領内にある村々は、石鹸、油、塩、ガラス、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムの生産が行われているため、下手な人に任せるわけにはいかない。
おそらく、トルク様がジャバス城を居城にしたら、代わりにシュラーデンさんがラントール城の城代として入ることになるだろう。
ジャミル城にはトルク様の従兄弟であるテアス・ガルドさんが城代として入ることになった。
アストン城にはサムラート・ライデムさんが城代として入った。
その長男のブロス・ライデムさんもアストン城に入るが、ニュマリン姉さんの夫であるクラウドさんはトルク様のそばに残る。
シャイフ家の城だったヘルグラット城は、元シャイフ家の騎士だったハイガ・アストロンが城代になった。
ハイガ・アストロン同様に、戦う前からソルバーン家に従うことを決めたザード・ハーマンとグドウ・ヒシュクは、トルク様の下で政務を行うことになった。
ルテア平野の最南端に位置するアセム城は、ルテア街道を押える重要な城だ。このアセム城にはタタニアが入る。もちろん、剛雷のゲキハも一緒だ。
あと城代補佐としてロッガが入る。ロッガとタタニアには結婚し、夫婦でアセム城を治めてもらう。
ロッガは俺のそばにいてほしかったが、仕方がない。一人前の男として独立してもらおう。
ソルバーン家が直接・間接的に治める土地が落ちついたら、別の誰かを入れるつもりだ。
今は名が知れ渡っているタタニアと剛雷のゲキハを入れることで、周辺に睨みを利かすことが優先だ。
ネルタ城はこれまで通り、ドルド・ヘインが城主をする。
ハンデル城もこれまで通り、クスリム・アッジが城主をする。
バーダン家の居城であったルイノース城には、我が養父カイン・シュラードが入って城主になった。
そう、城主である。ルイノース城はシュラード家の領地になったのだ。
養父は今年五十八歳。まだまだ元気だが、年齢的に隠居していてもおかしくない。
養父曰く、領地が増えると、面倒も増える。その通りだが、もう遅いよね。
ルイノース城は、ソルバーン家の現在の拠点であるラントール城と、来年からの拠点であるジャバス城を繋ぐ重要な城だ。下手な人には任せられないため、養父が拝領することになった。
さて、問題なのがダミアン家のエイネン城だ。この城はソルバーン家のラントール城に近いため、放置はできない。
現在、ダミアン家は味方でも敵でもないが、ここを押えるのは、戦略的に重要なことである。




