第75話 アルベナの惨劇というほどのものじゃないと思うけど?
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第75話 アルベナの惨劇というほどのものじゃないと思うけど?
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後にアルベナの惨劇と言われることになる戦いは終わった。アルベナという村のそばの戦いだから、アルベナの惨劇だ。安直だね。
それに内容は惨劇というほどでもないと思う。
俺は第一部隊と共に千五百人を討ち取った。そのうち騎士は八人。
死体は全部俺が回収した。
その際、死んでない人もいたので、一番安いポーションを飲ませておいた。それで死ぬ人もいるが、生き残る人もいる。
捕縛にした騎士は七人で、ヘルグ・フジカムも含んでいる。
一般兵士は一切捕虜にしなかった。するだけの人手がないのもあるが、ある目的のために放置した。
物資もたくさん落ちていたので、拾っておいた。結構な量の物資なので、大儲けだ。
捕まえた馬に、騎士たちを積み上げて街道を進む。俺の無限収納に放り込んでおいてもいいが、見せしめだね。
『ボス。終わった?』
ララの意志疎通魔法だ。
『終わったぞ。ヘルグ・フジカムを捕縛した。テグネン城のほうはどうだ?』
『アランを確保。加担した騎士の多くは殺した』
『おーけー、夕方にはテグネン城に帰るから、皆に伝えておいてくれ』
『うん』
『トルク様のルイノース城のほうはどうだ?』
『まだ落ちてない』
『そうか。タタニアにはトルク様のそばを離れず警護に集中しろと、あと明日の朝には俺もルイノース城にいくと伝えてくれ』
『分かった』
「テグネン城のほうは、もう終わったってさ」
「それは重畳ですわ」
戦いの後だから少し表情が硬かったスライミン姫が笑みを浮かべる。
「ククク。そんなわけあるか。今頃テグネン城は落ちているぞ!」
ヘルグ・フジカムだ。
強気はいいが、馬に積まれている荷物状態では様になっらないな。
「はいはい。愚か者は黙っておこうか」
「くっ、この私を愚か者と言うか!」
「実力差も分からない愚か者な」
ヘルグ・フジカムは悪態をつくが、俺たちは無視した。
そのうちにテグネン城が見えてきた。
「おーい、ボスー!」
ホッタンが出迎えに出てきたようだ。
「よう、ホッタン。気は済んだか?」
「アランの野郎じゃ、物足りないぜ。あいつちびりやがってさ、しかも大のほうをな! 臭いのなんのって!」
そんなことを大きな声で言ってやるなよ。
まあ、アランには死んでもらうから、名誉とか関係ないと思うけど。
「で、死体はどうした?」
「収納持ちが手分けして回収したぜ」
「それでいい。死体が腐ると臭いからな」
それに病気が流行る。
臭いのは我慢すればいいが、病は流行らせないほうがいい。
バルナンの第四部隊がいるのである程度は対応できるが、数が多いと死者が出る。
収納魔法は俺の無限収納魔法と違って有限だ。魔力量次第なのでうちの子たちの容量は多いが、死体を入れっぱなしにするのは容量を圧迫する。
死体は俺の無限収納魔法に回収する。容量無限だし、時間を止めておくことも可能だ。これで死体は腐らず保管ができる。
「こいつがアランか」
アラン・シュバルクアッドはガタガタと震えている。
こんなことになる予定じゃなかったか?
「で、こっちがガシューム・レベヌか」
アランはほぼ無傷だが、ガシューム・レベヌはボコボコにされている。顔の形が変わっていて、原型が分からないんですが?
「こいつはホッタンが捕まえたのか?」
「おう、俺だぜ!」
「この顔では、誰が誰か分からんだろ。少しは手加減しろよ。殴るなら顔じゃなくてボディーにしな」
どこかのスケバンか!?
「わりー、わりー。でもさ、こいつうるさいもんだから、ついさ」
「そういう時は靴下でも口に突っ込んでおけ」
「おう、そうだな! 今度からそうするぜ!」
女性陣、そんな嫌そうな顔をしてやるなよ……。
俺も嫌だけどさ。
「よし、アランとこいつは公開処刑。あとの騎士家は養嗣子を入れて家の存続を許可で、領地は没収」
アランはガン泣きだ。
「そんなに泣くなよ。反乱を起こした以上はこれくらい覚悟していたはずだ。大人しく死ね」
「いーやーだー! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ! いやだ!」
駄々っ子か!?
「うるさいっ! ぶっ殺すぞ!」
「うぅぅぅ」
「お前、そんなに死にたくないのか?」
「はい! 死にたくないです!」
「じゃあ、殺さない」
「え、本当!?」
「ただし!」
「ただし?」
「今後アラン・シュバルクアッドの名前は使えない。お前は乱戦の中で死んだことにする。墓も立てる。別の人間になってもらう」
「はい、分かりました!」
「え、いいの? 別人になるんだぞ?」
「生きていられるならいいです!」
「……そう。んじゃ、名前だけ死ね」
「はい、名前だけ死にます!」
こいつノリがいいな。
ちびったヤツだけど。
「もしアランと一言でも言ったら、殺すからな」
「はい! 分かりました!」
「そういうわけで、ガシューム・レベヌだけ公開処刑な」
「なんで儂だけが!?」
「あ、ホッタン」
「なんだ?」
「なんで儂だけが公開処刑なんだ!? 儂も名前を変えるから許してくれ!」
「こいつの舌を引っこ抜いて、喋ることができないようにしておいてな」
「舌を抜くなんて酷いと思うぞ!」
「なんで俺が?」
「お前が捕まえたんだろ? 殺しておけばこんな面倒なかったんだぞ」
「う……」
「舌を抜くなんて―――」
「「うるせーんだよ!」」
「な、こいつうるさいし、今のアランのことを喋られても困るから、舌を抜いておいてくれ」
「ちっ。分かったよ」
アランとガシューム・レベヌについてはこれでよし。
次は場所を移してヘルグ・フジカムだな。
「よう、元気か?」
「この私をこのような牢に入れるとは、なんたる無礼! 早く出せ!」
こいつも自分の立場というものを分かっていないか。
「クラリッサ。頼めるか」
「うん。凍れ」
ピキッピキッピキッピキッピキッ。
牢内が凍りつき、まるでマグロ用の巨大冷蔵庫のような寒さだ。
ヘルグ・フジカムも首から下が凍りつき、ガタガタと歯を鳴らしている。
「どうせフジカムは滅びるんだ。今死んでも構わんか」
「あぁぁふふふざざあけけけるうぅぅぅなぁぁ」
「ふざけてないぞ。お前、そこで凍え死ね。オヤジのルームには、氷漬けのお前を送りつけてやるよ。それがシュラードを敵にしたということだ」
「うぅぅぅいぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁだぁぁぁぁぁ」
ヘルグ・フジカムが流す涙が落ちる前に凍ってしまう。
まあ、こいつの使い道は考えてあるから、簡単には殺さないけどね。




