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第103話 うちにはバーサーカーしかいないのか!?

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 第103話 うちにはバーサーカーしかいないのか!?

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 十四歳の春がやってきた。まだ少し寒いが、雪の多くは融けて人々が活発に動く活力のようなものを感じる。

 そんなある日、フィッツを呼び出した。


「フィッツです! お呼びとうかがい、出頭しました!」


 フィッツが背筋を伸ばして立つ。彼はすでに十五歳になっており、俺の加護を与えても魔力は増えていない。それでも加護を通じて、繋がりを感じる。


「アシャール家を潰すことになっている。それは知っているな?」

「はい。聞いています」

「アシャールの首脳陣は殺すか追放になる。お前の父親も対象だ」

「僕に異存はありません」


 フィッツは淀みなく答えた。今のフィッツは母親と共に過ごしている。部屋は子供たちと共同だが、同じ屋根の下で母親が寮母をしているので、いつでも会える状態だ。母親もフィッツと呼び、ここの暮らしに馴染んできた。


「アシャールを併呑したら、お前がアシャールの当主だ」

「え?」


 困惑の色を顔ににじませる。


「あの……僕がアシャールの当主ですか?」

「フィッツはアシャールの血を引いているんだ、なんの問題もないだろ」

「ですが……」

「城はテルケ城だけになるが、フィッツが城主として入ることになる。嫌か?」


 別にアシャールを残さないといけないわけじゃない。でも、せっかくアシャールの血を引くフィッツがいるのだから、その状況を活用しない理由はない。もちろん、フィッツが嫌と言うなら、無理強いはしないよ。


「……ボスのご命令であれば、否やはありません」

「嫌なら嫌と正直に言っていいぞ。そんなことで俺は怒らんからな」

「いえ、ボスが僕に与えてくださった仕事ですから、誠心誠意努めたいと思います」

「そうか。なら、テルケ城主はフィッツで決定だ」





 そんなわけで、一気にテルケ城を攻めることにした。

 参加するのは、スライミン姫、クラリッサ、タタニアの第一独立部隊とホッタンの第二独立部隊、あと第九部隊だ。

 グルダをホッタン下から外して、新たに編成した第九部隊を任せている。他の各部隊が特化型の部隊に対し、第九部隊は毘沙門党二百人が所属する主力戦力として活躍してもらうつもりだ。


 毘沙門党はテルケ城を攻撃するが、ソルバーン家に属する騎士たちは兵五百でファッケンバルド城を同時に攻撃する。

 今回の作戦は、電撃戦だ。アシャールに気づかれる前に、最低限城を包囲する。出来ることなら、敵が気づいた時には、城が落ちていたというのがいい。


 ダミアン家のエイネン城に騎士たちと兵五百が集まり、夜陰に紛れて南下する。以前、グラドス・ダミアンがソルバーン村を襲おうと、兵百を率いて山間部を移動してきて撃退したことがある。それをアシャールにやろうというのだ。

 数が少ないので発見される可能性は少ないはずだが、もしもの場合は力攻めで落としてもらう。


 俺たち毘沙門党はタタニアが城代をしているアセム城に集まり、こちらも夜陰に紛れて城を出た。

 毘沙門党のメンバーは、野山に分け入って狩りをする。だから、山歩きには慣れている。また、そういったメンバーを集めている。


 <近況ノートのマップ>

 ※ソルバーン勢 A2:エイネン城、A13:アセム城

 ※アシャール勢 A14:テルケ城、A15:ファッケンバルド城


 一気に駆けて、テルケ城のそばに到着した。まだ丑三つ時(夜中)といった時間で、ここで暁七つ(夜明け前)まで休憩する。


「おい、ボスよー」


 なんかヤンキーに絡まれた。


「なんだ、タタニア」

「私はどいつをぶっ飛ばせばいいんだ?」

「当主のベルフェン・アシャールとその弟のクライン・アシャール、他にアシャールと名がつくヤツはぶっ飛ばしていいぞ」

「そうこなくっちゃーな!」

「だけど、あまり城を壊すなよ。修理が大変だから」

「おう、任せておけって!」


 本当に分かっているんだろうな……。


「俺は戦えれば、なんでもいいぜ。エヘヘヘ」

「ホッタン。どっちがたくさんぶっ飛ばせるか、競争だ」

「莫迦力のタタニアには負けないぜ!」


 うちには戦闘狂バーサーカーしかいないのかよ……。


「グルダ。お前だけが希望だ」

「なんだよ、いきなり?」

「あの二人に任せると、あの城が崩壊しかねん。頼んだぞ」

「ああ、そういうことか。善処するよ」

「もし壊れたら、お前らが直すんだからな」

「え? マジかよ!?」

「マジだ。だから気合いを入れてあの二人を操れ」

「俺にタタ姉ぇを御せるとは思えないだが?」


 俺はグルダの両肩に手を置く。


「お前に出来なければ、誰にもできない(丸投げ!)」


 がんばれ、グルダ!



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