プロローグ
『青春とは、望むが手に入らないもの』、『恋人とは、友人とは、自然にできるもの』、そう思っていた。
だから、未だに友人もおらず、彼女の一人も出来たことがない。
だが、それが間違いだと認めるのに数年かかってしまい、ついには中学校卒業を迎えてしまった。
だが、このまま灰色の青春を過ごすのだけは嫌だった。
高校生になったら、彼女を、友人を作って灰色の青春から脱出する!
そのために俺はひたすら努力した。
コミュ力、ファッション、勉強、運動、その他諸々。
とにかく、がむしゃらに努力した。
そうして、4月。ついに、高校デビューをする事となった。
三年前よりも、ワクワクしながら学校の校門をくぐる。
俺の青春は今日ここから、再び始まるのだ!
―――
中学校時代よりも早く学校に到着する。
人間関係は一朝一夕で得られるものではない。だからこそ、なるべく早く学校に来ることで、多くの人と、より長く会話を交わせると考えたのだ。
入学式だから、別にそんなに話せるわけじゃないだろって?
…それはそうだけどさ。
いや、別に高校デビューに浮かれてて入学式だからそんなに話す機会無いのに気づかずに早く学校についちゃったわけじゃないからな。
そんな事は置いといて、
俺は新しく割り当てられた教室に入る。
そこに目を向けると、一人男子生徒が居た。
すると、その男子生徒がこちらが声を発する前に話しかけてきた。
「始めまして。僕、本間陽太。君は?」
おぉ、コミュ強だ…
女子も羨む透き通る肌に、少しあどけなさが残った顔、可愛い笑顔とで、非常にモテそうである(小並感)。
三年前の俺なら萎縮して喋っていただろうが、そこは俺も成長した。
「俺は、山元大雅。よろしくな!」
うん、俺も本当に成長したものだ。そう自分の成長を噛み締めていると
「実は僕中学校時代にお友達があんまり出来なかったから、もし良ければお友達になってくれないかな?」
俺は直感的にこいつが良い奴だと感じた。何故かは分からない。
だが、こいつにはそう感じさせるオーラみたいなものがあるのだろう。
それより何より、俺と似た境遇であり親近感を覚えた。
「もちろん!じゃあ、これからよろしくな、陽太!」
そう言って、手を差し出す。
そうすると、すぐに手を握り返してくれる。
「よろしくね!大雅君!」
「呼び捨てで良いよ。友人は対等の方が良いだろ?」
これは、俺の信念であり、目標である。
対等な関係の友人を持つ。
決して上下関係は付けたくないのだ。
友人という言葉を枷にはしたくない。
「わかった。よろしくね、大雅!」
庇護欲を掻き立てる様な笑顔を見せつける。
こいつ…、いや陽太は本当に友達が少なかったのか?
―――
その後は、入学式でバタバタしてて殆んど他の人と会話できなかったが、陽太と友達になれたのは、今日一の成果と言っても過言では無い。
計画通り。
いや、ホントだからね?怪我の功名とかじゃないからね?
こうして、意気揚々と帰ろうとした時、いきなり声をかけられた。
「ちょっとあんた、良いかしら?」
振り返ると、黒髪ロングの美少女が立っていた。
目鼻立ちは整い、その長い髪はサラサラしており、彼女が如何に丁寧に扱っているかを物語っている。
制服も他の生徒よりもピッシリと着込んでおり、そこに彼女の真面目さを演出しているのだろう。
所謂、委員長キャラである。
はてさて、何かあっただろうか?
話したことも無いし、何なら今日初対面である。
新入生として同じ教室に居た気がする。
確か名前は…
「外山愛梨。あんた、確か山元とか言ったかしら?」
声色からして、あんまり良い内容じゃなさそうだ。
「あぁ、そうだが。俺に何か用か?」
すると、外山さんは突拍子も無い事を言ってきた。
「私と、お茶してくれないかしら?」
お初にお目にかかります。『中山くた』と申し上げます。
投稿は不定期で高確率で失踪します。「完結したら良いな〜」程度に見てもらえると幸いです。
よろしくお願いします。