8.プライドを捨てた告白
「まさか!人聞きの悪いことをおっしゃいますな!見下してなどおりません!…ですが、確かに理由は別にございますね」
「やはりそうではないか!」
「えぇ、私は殿下をお慕い申し上げておりますから。それゆえに殿下と仲睦まじく過ごされているリアさんが妬ましかったのです。私への気持ちがないことは分かっておりましたので。王妃の座に就くべきでない浅ましい人間でございましょう?」
この言葉はあながち嘘ではない。
リアへの厳しい態度の裏には自分では気付かないようにしていたけれども、少なからず嫉妬心があった。
普段のプライドの高いジェーンならば、このようにあけすけに想いを伝えることはしなかっただろう。
しかしながら、これも策略の1つだった。
恋心を抱いている相手を奪われてしまった人間をこれ以上誰が追い詰められようか?
逮捕&処刑を免れるためなら、プライドなどいとも簡単にかなぐり捨てられた。
実際、ジェーンが悲しげに微笑むと、思うところのあるウィリアムはそれ以上何も言えずに黙ってしまう。
先程までこそこそと悪口を言っていた学友の声も静まり返っていた。
「けれども、愛し合っている殿下とリアさんの邪魔はもう私にはできません。潔く身を引かせて下さいませ」