36.初めて感じる体温
バックハグの体勢でカーティスから耳元で囁かれたジェーンは一瞬で頬を真っ赤に染め上げた。
密着した背中からカーティスの温度を初めて感じ、緊張で身動きできない。
そして素肌のまま触れ合っている手からは高鳴る鼓動が今にも伝わってしまいそうで、呼吸には躊躇いの色が滲む。
「カーティス様、それは…」
いつもは誇り高く堂々としたジェーンに潤んだ瞳でおずおずと見つめられ、カーティスは思わず体を離して距離を取る。
ほんの数刻前にウィリアムとのことがあったのにも関わらず、ジェーンに対する自分の行動が性急で強引だったのではないかと心配になったのだ。
「あっ、別に深い意味はなくてっ!ただ少し…、ジェーンと話したいと思ったんだよ。言い方が悪かったよな…。ごめん!」
カーティスはぽりぽりと頭を掻いて、気まずそうに目を逸らす。
彼の言葉は下心のある言い訳などでは決してなくて、本心だった。
だが、それはジェーンをひどく落胆させた。
(話だけ…。カーティス様は僕に触れたいとは思っては下さらないのだろうか…?)
そして甘く浅はかな欲望を密やかに孕んだことを恥じた。
「えっと…。じゃあ、どうぞお入り下さいませ」
「う、うん…」
2人はぎこちない空気感を漂わせながら、部屋へと入っていった。




