35.カーティスの逆鱗
ベルはその本性を剥き出しにしながら、カーティスの腕に縋りついて叫んだ。
しかし、カーティスはすぐさまベルの手を振り払った。
「ベル、お前の好意に応えるつもりはない」
「そんな…。どうして…?私の方がよっぽどカーティス様に相応しいのに…」
「俺の妻はジェーンだけだ。ジェーンを傷つける者は何人足りとも許さない。俺の前に2度とその顔を見せるな!」
カーティスの逆鱗に触れたベルは膝から崩れ落ち、自分の罪の大きさをようやく理解した。
その後、ベルとウィリアムは近衛兵によって連行された。
そして全てを見届けてから、カーティスはジェーンを部屋まで送っていく。
「カーティス様、今夜はご迷惑をお掛け致しまして申し訳ございません。ご公務でお疲れでしょうに。こちらまで送っていただき、ありがとうございます。…それでは、おやすみなさい」
ジェーンは部屋の扉の前でそう言うと、カーティスに背を向ける。
本当はまだ離れたくない。
もう少しだけでも傍にいさせてほしい。
けれどもジェーンはそんなワガママを言えないから、顔にすら出さぬようにぐっとこらえる。
だがジェーンが扉に手をかけたその瞬間、それはカーティスの手によって止められた。
「ジェーン、今夜は俺と一緒に過ごしてほしい」




