2.ジェーンとリア
小動物のような愛らしい外見と明るく人懐っこい性格で周りの人々を惹きつけた。
それはウィリアム、そして彼の近侍たちも例外ではない。
だがそのー方で、貴族としてのマナーや礼儀に欠けている部分も多く、彼からはその場だけが楽しければそれで良いというような短絡的な思考が感じられた。
学友として、そしてこれから貴族の世界を生き抜いていく同士として、ジェーンは時折リアに厳しく注意や説教をした。
リアを嫌っているから、そんなことをしたのではない。
むしろ逆だ。
今後彼が恥をかくことのないように、という老婆心でしかなかった。
しかしながら、当のリアはもちろんのこと、ウィリアムたちからもジェーンは毛嫌いされることになってしまった。
そして皮肉にもジェーンをだしにして、2人は急速に仲を深めていった。
親同士の取り決めとはいえども、ジェーンは子供の頃からウィリアムに恋をしていた。
王妃として彼に相応しい人物となろうと、これまで自分にも他人も厳しく努力してきた。
だけど、それが図らずも裏目に出たジェーンは婚約者の気持ちが離れていくと分かりながらも、なぜだかその態度を変えられなかった。
(卒業したら、僕は殿下と結婚する。だが、これで本当に良いのか?結婚しても、彼の心は僕のところにはないのに…。このまま一生愛のない結婚生活を送っていくのだろうか…)