28.カーティスからの言伝
その間、ジェーンとカーティスは時折顔を近づけながら、軽く笑みや会話を交わす。
傍からは仲睦まじい新婚夫婦にしか見えないだろう。
けれども実際は夫婦らしいことなんて何一つないのに。
外面と内情のギャップにジェーンは寂しさを感じた。
式典を無事終えた後、ジェーンはホールの件で話し合いがまだ残っているカーティスとはその場で別れ、城へと帰る。
自分の部屋に戻るために城内を歩いていたところ、1人のメイドに話しかけられる。
「妃殿下!あの…、私、カーティス様からお言伝てを預かっておりまして…」
(先程まで一緒にいたのに?なぜわざわざメイドに頼んでまでお言伝なんてなさったのでしょう?それにこの方、どこかで会ったことがあるような…)
少しの違和感を感じたジェーンはメイドを訝しむ。
「…お言伝より前に、あなたの名を伺っても?」
「ベルと申します…。私、カーティス様付きのメイドをしております。…もしかして疑っておられるのですか!?でしたら、他のカーティス様付きのメイドたちに私のことを確認していただいて構いません!」
ベルは自身について疑われたことに対して、憤りを見せた。
ここまではっきりと言うのならば、彼女がカーティス付きのメイドであるのは正しいのだろうとジェーンは自分を納得させた。




