25.妾のリア
辺りが静かになったのを確認して、ジェーンは部屋から出た。
すると、一悶着終えたらしく疲れ果てたペネロペと目が合う。
「…おはようございます、ジェーン様」
「ペネロペ…。またウィリアム様ですよね?朝から面倒かけて本当にごめんなさい」
「こういう時は会わないのが得策ですわよ。使用人一同、皆分かっておりますゆえ。だからジェーン様が謝る必要は全くありませんわ」
「ありがとうございます。でも、ウィリアム様はどうして突然僕に会いに来るようになったんでしょうか?」
「それについては思い当たる節がありますわ。最近小耳に狭んだのですけれど、あの方の元妻が他国に移り住んだようなんです」
ペネロペの話によると、リアは一晩を共にした浮気相手である他国のあの大臣の元に迎えられたとのことだ。
リアが離婚されて実家に出戻った後も、彼は性懲りもなくこっそりと会いに来てはリアと関係を持っていたらしい。
その結果、またもや妊娠。
責任を取って、大臣はリアを貰い受けることとなった。
しかし、彼には王家筋の正妻が既にいるため、リアは妾扱いでの嫁入りだ。
それでも実家のグラマシー侯爵家は王家の血を引く娘だけを残した上でとんだトラブルメーカーは出て行ってくれるのだからせいせいする、とかなり喜んでいるそうだ。




