23.ジェーンの心
(結婚する直前までは愛のない結婚でも全然構わない、それどころか数ヵ月前までずっと恋愛なんてもう必要ないって。そう思って
いたはずなのに…)
カーティスへの恋心に気付いて以降、ジェーンは何度も彼に対して好意を伝えてみようと思った。
しかしながら、行動に移すことは一度たりともできなかった。
カーティスに拒まれて、彼から愛されることはないという現実を突きつけられるのが何よりも恐ろしかったのだ。
だとしたら、愛を得る可能性に懸けるよりも、もしかしたらいつかは愛されるかもしれないという不確定に身を置き続ける方がずっとずっと幸せだとジェーンは考えた。
(けれども、さすがに半年間も閨を共にされないのは明らかに脈がない証拠だ。カーティス様に愛されたいと望むのは早く諦めなければ…。あの方のお傍でただお慕いするだけでも充分幸せじゃないか。それにカーティス様はとてもお優しい人だ。僕に恋愛感情がなくても、良好な関係は築いていけるはず。ウィリアム様とはあんなにも違うのだから…)
ジェーンは自分に言い聞かせるようにそう思うと、寝巻を着直して、眠りについた。
ジェーンが恋愛においてかくも消極的なのは婚約者であった頃のウィリアムとの関係が大きく影響している。
現在はウィリアムへの未練も愛情も一片もなく、ふっ切れている。




