16.王妃の打診
それによって、人目を憚ることなくリアと娘を冷たく罵るようになった。
ウィリアムに飽きられたリアは寂しさが募るとともに、彼によって開発され尽くした身体を持て余す。
そしてある時、訪問中の他国の大臣を誘惑して、そのまま一夜を共に過ごしてしまう。
明け方まで続いたその情事を目撃したウィリアムは2人に襲いかかるという事件を起こす。
双方に原因があったということで一応は穏便な解決に至ったが、他国との関係に亀裂が入るようなトラブルを引き起こしたウィリアムは廃嫡となる。
一方のリアは離縁され、娘と共にグラマシー侯爵家に戻された。
そういった経緯の中、王家はある決断をした。
国王の譲位だ。
「王妃の打診?僕にですか?本気ですか?冗談ですよね?」
「本気だ。私がそんなタチの悪い冗談を言うと思うのか?」
「…言いませんね。申し訳ございません、取り乱しました」
仕事の合間に呼ばれたジェーンは難しい顔をした父から思いもよらぬ縁談話を聞き、驚きを隠せない。
「お相手は王弟のカーティス様ということでしょうか?」
「あぁ、そうだ。彼の即位式とともに結婚式を行うそうだ」
ウィリアムの代わりに王嗣となったのは国王の弟である力ーティスという人物だ。
彼は元々母親の身分が低かったこともあって、世継ぎ候補からは幼少期のうちより外されていた。