15.ウィリアムとリアのその後
その結果、アンテノール公爵領は2年で以前の数倍の儲けを生み出した。
ジェーンはやればやるだけ報われる仕事に魅入られていたし、恋愛はもうこりごりだと思っていた。
それなのに、パーティーの帰りに出会ったあの男性のことだけは時折思い出してはなぜだか無性に会いたくなることがあった。
だが、そんなジェーンの生活に変化が近づいていた。
またもやウィリアムとリアの存在によるものだった。
卒業パーティーの後すぐに結婚した2人の間には10ヵ月も経たぬうちに女の子が産まれる。
王女の誕生という喜びに沸く一方で、略奪愛の末の妊娠という醜聞は影のように彼らに付き纏って離れはしなかった。
ウィリアムは汚名を返上するために、次期国王としてどうにか功績を上げようと懸命に公務に励むが、思うような結果は全く得られない。
一方で、リアは王妃教育と子育てに追われて、今までのようにウィリアムとの情事の時間がほとんど得られなくなってしまった。
重責に潰されそうになりながらも、癒しを失ったウィリアムは次第に精神的に追い詰められていく。
「リアが唆さなければ、聡明で美しいジェーンとともに国民に慕われた王太子のままだったのに。全てリアが悪いのだ」と自分勝手にも責任転嫁と後悔を始めた。