14.王に下された処分
理由は至極簡単だ。
王族の権威を皆の前で失墜させたことへの処分だ。
まぁ、王太子妃リアへの嫌がらせ(という扱いにされてしまった注意や説教)に対する罰も含まれているのだろう。
とはいえ、非があるのはウィリアムとリアなのは確かなので、公に下されたものではない。
王家とアンテノール公爵家の間で秘密裏に出された命令だった。
ジェーンの父アンテノール公爵は卒業パーティーでの一連の出来事を知った上で王命を受け入れた後に即座に要職を辞して、王の元を去った。
手塩にかけて育ててきた息子に対するウィリアムの仕打ちがどうして許せなかったのだ。
ジェーンにとって軟禁処分は逮捕&処刑に比べれば、十分軽い処罰で済んで良かったと思える程度のものだった。
むしろ表舞台に立たなくていい分、周囲からあることないこと噂の種にされなくて気楽になったとさえ感じていた。
けれども、国のために長年尽くしてきた父からやり甲斐のある仕事を奪う結果になってしまったことだけはひどく後悔した。
それでもジェーンたちー家には公爵領がある。
今まで国政と領地経営の双方に注ぎ込んできた労力や時間をこれからは領地経営のみに専念できるとアンテノール公爵は前向きに捉えた。
新規事業や既存事業の改良や立て直しに取り組んだ父親をジェーンは領地から一歩も出ることなくとも、持ち前の機転で事務処理やアイデアなどの面から助力した。