11.不名誉なレッテル
だからこそ、この卒業パーティーでジェーンとの婚約破棄とリアとの結婚を発表する必要があった。
(いくら新たな王族の誕生だとしても婚姻前に出来たとなると、王家への風向きは一気に変わってくる)
「ジェーン!デタラメはよせ!」
「デタラメではございません。これは確かな情報筋から得ておりますから」
ジェーンのハッタリに対して、ウィリアムの瞳に困惑の色が宿る。
だけど、あくまでもしらを切るつもりのようだ。
それでも一方のリアは動揺を隠せずに顔面蒼白だ。
「まぁ、でも?教室、図書館にプールと。あぁ、それに野外でしたっけ?あれだけ何度も激しく睦み合っていれば、子どもはすぐ出来てしまいますね?」
ジェーンの言葉で2人は茹で蛸のように顔を真っ赤にする。
恥ずかしいとも怒っているとも取れるその表情で、会場はジェーンの言い分が真実であるのだとはっきりと理解した。
彼らは『婚約者がいるのにも関わらず、浮気した挙句妊娠させた不埒な王太子』と『婚約者のいる男を平気で奪ったふしだらな令息』に蔑んだ目を向ける。
近侍たちもリアの妊娠までは聞かされていなかったようで、戸惑いが顔に表れている。
(これで殿下とリアさんには『正しい』レッテルを貼ってもらえたようですね)