僕は僕のままで
「そんなこと綺麗事だよ」
「そうかもしれない。けど、みんながみんな姚国を嫌いな訳じゃないんだよ」
ローレル様が優しかったように。きっと姚国のことを好きだと言ってくれる人がいるかもしれない。
「それに私はまだ、この国のことをよく知らない。きっとこの国の人も姚国のことを知らない。だから、こんなことになる。コウエイもそうでしょ?」
知らないものは怖い。それに、私たちだってこの国で姚国のことを知ってもらおうとはしなかった。それは私だってそうだったから。
ありのままを受け入れるだけが、正しいとは限らないって、ありのままを受け止めきれないことだって知ったから。
「……分かった。ごめん、シオン、少し休ませて」
コウエイは俯いてそう言った。
その夜、コウエイは私たちの前から姿を消した。
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私とロイさん、そしてリーク様はロイとして宛てがわれた部屋に集まっていた。
「シオンはコウエイがどこに行ったか知らないのですか?」
「分かりません……」
昨日、コウエイと話をした後のコウエイの行動は分からない。ただ、会話の内容を思い出してコウエイは、この国に何かを仕掛けようとしている人物。しかも、復讐という名で攻撃してこようとしている人物の元に行ったのだと直感で思った。
十中八九、姚国の人間だろう。
しかし、その人物が誰なのか私には検討がつかない。
「コウエイは、復讐をしてくれる人のところへ行くと言ったんだよね? 恐らくその人が関係しているだろうけど、リークは調べられるか?」
「やってみます。この国を、崩される訳には行きませんから。それはそれとして……本当にいいのですか? 王子としての立場を復活させなくて」
「いいんだ、僕はしばらくロイのままでいるよ」
そうなのだ、ロイさんは城に戻り、リーク様と和解した、と言ってもまだリーク様を完全に許したわけじゃないらしいのだが、リーク様が王子としてこの城に戻れるようにします、と言った。
けれど、ロイさんはリーク様のその提案を拒否したのだ。
「このまま戻っても、ノーブル王は許さないだろう。恐らく、僕に何か期待する訳でもないだろうし。だったらリークが指揮を取ってくれ。僕は僕の出来ることをする」
その言葉に、リーク様はうなづいた。
これはきっと、ロイさんなりの王子としてのやり方だと思う。
裏方に周り、この国を支えんとする気持ちはリーク様も同じだろう。
そうして、ロイさんはロイさんのままでいることを決めたようだった。




