地下での再会
「気がついた? よかった、コウエイに触れたと思ったら、急に倒れるから……」
ロイさんは私の顔を覗く。思った以上に距離が近くて、息が止まる。どきどき、と胸が強く鼓動を打った。
「ん……? あ、ごめん。ただ、夢中で」
耳が熱いから、きっと顔まで真っ赤だろう。
それに気づいたロイさんはゆっくり私を立たせる。
さり気なく支えられ、私は立ち上がると話を切り替えるために、コウエイを見た。
意識を失っているコウエイは、幾分顔色が戻ってきていた。
赤みを指した頬に、涙の跡が幾滴も流れている。
「ちゃんと、生きてる……」
「あぁ、シオンが触れたらあの鱗みたいなものは全部消えたよ。まるで、君の中に吸い込まれたようだったけど」
わずかに戸惑いの色を見せるロイさんに、私はどうしたものかと思いながら、さっき見た光景を話していた。
「シオンのお母さんが見えたんだ? もしかしたら何か関係があるのかもね」
「そう思います。それに、また会えるって言っていました」
「それならそうなんだろう。また会えるといいね」
「それは、こちらとしてもありがたい話かも知れないですね」
「リーク……」
驚いて声のする方へ、ばっとロイさんと振り返る。
ロイさんは私を庇うようにして背に隠しながら、重い声でその名を呼んだ。
「まさかこんなところまで来るとは思っていませんでしたよ」
素敵な笑みを浮かべながら、唯一の出入り口を塞ぐように立ちふさがる。
リーク様は、私達を逃がすつもりはないようだった。
私は、リーク様と話をするためにロイさんの背中から身を翻した。
シオン、と名前を呼ばれるが大丈夫と頷くと、ロイさんは何も言わなかった。
「私はあなたがここにいたこと、知っていました」
「……そうですか」
「驚かないんですね。リーク様は何を知っているんですか、何をしようとしてるんです!?」
ローレル様とリーク様の関係を断ち切ってまで、何をしようとしているの?
「裏切ったつもりはありませんよ。私は、私の出来ることをしたまで」
そういったリーク様の顔はわずかに歪んだ。
それはまるで痛みを隠すような、後悔する表情だった。
リーク様は何かを隠している。それだけは分かる。
「お願いです、教えてください」
「ならば私と一緒に来ますか?」
その表情は一瞬で、仮面を被るようにすぐに鋭い表情に変わった。




