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雑草少女と花の国  作者: 山名真雪
雑草少女と不治の病
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対話できる神様


「特別な虹脈の話、聞いたことがあります」


「えっ、本当!?」


「はい。確かな話ではないのですが、人の言葉を話し、理解するそうです。ただまだ完全に操れるわけではないらしくて……」


虹脈という神様と対話が出来る……。


「それは、確かに特別な虹脈だね。虹脈様は言葉を持たない。全ては虹脈様の御心のままにだから……。もし交流が出来てある程度操れるようになったら、その力は計り知れないね」


言葉を交わせるということは、お互いの思いを伝え合うことが出来るということ。そして、その心を理解し合えれば、もしかしたらある程度こちらの願いも叶えてくれるようになるかもしれない。

その時、その願いが良い願いであれば問題はないのだが、もしその願いが偏ったものであった場合、世界に与える影響は大きいだろう。


虹脈様の心が、その良くない誰かの願いに傾いた時、その願いを叶えてしまえるだけの力を、虹脈様は持っている。


「その特別な虹脈を使って、お父さんは何かをしようとしているということ……? でも何で、そんな事知ってるの……? コウエイはその話、誰から聞いたの!?」


少なくとも、私が姚国にいた頃にそんな話は聞いたことがなかった。

むしろ、そんな特別な虹脈があったならカロラに奪われる前になんとか出来ただろう。

そう思うと、その虹脈も嘘っぽい。信憑性は低いのかもしれない。

だけど、心の何処かで本当な気がしていた。


コウエイの方に掴みかからんばかりの勢いで詰め寄ると、ロイさんが慌てて止めに入ってきた。

私を落ち着けるように、背中をとんとんと叩かれる。


「落ち着いて、コウエイが困ってる」


「あ……」


我に返ると困ったように、眉毛を下げ泣き出しそうなコウエイがいた。

両手をぎゅっと胸の前で握りしめ、震えている。


「ごめん……ちょっと取り乱した……」


全身に入っていた力を抜き、コウエイから視線を逸らす。

だめだ、お父さんが絡んでいると思うと居ても立ってもいられなかった。


私のことを要らない、とまで言ったお父さんの顔が今でも忘れられない。

ただ、お父さんが何をしようと、それを止めなくてはいけない。娘として、姚国の人間として。



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