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雑草少女と花の国  作者: 山名真雪
雑草少女と新たな出会い
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12/120

王都、フロルでの再会

「な、なんですか……?」


周りの人達は、なんだなんだ、とこちらを伺うだけで私を助けてくれそうな人は居ない。

周囲の視線を感じながら私は震える声で言った。

ハンナは突然の大声に驚いたのか、前足で地面を蹴って苛立ちを見せる。


「貴様、どこのものだ。その馬はノビリス様の馬とお見受けするが、どこで手に入れた?」


剣の切っ先を私に向けたまま、ジリジリとにじり寄ってくる。

背後の衛兵も近づいてくる気配がして、円形に囲まれる。


「えっと……、わ、私はロベリア教会の孤児院から出てきたばかりで……その、ハンナはそこから着いてきてしまって……!」


そういえば、ハンナは王族の馬だった。余生を送るためにロベリア教会に預けられていたのに、ここにいること自体がおかしい。盗んだ? 連れ去り? どれに当たるか分からないけど、疑われても仕方がない。

正直に話すものの、信じて貰えそうにない。むしろ疑念を抱かせてしまった気がする。

それでも、嘘をつく訳にはいかなかった。


「ロベリア教会に戻れないから、一緒にここまで来てしまったんです……!」


「嘘をつけ! ロベリア教会からは、連れ去られ行方不明だと報告が来てる。貴様が連れていったんだろう!」


「それは……!」


流石に、ハンナが居なくなったことは直ぐに連絡していたようだ。

しかも連れ去られた、って……。

どうみても、教会から出た私に容疑がかかる……。

でも、ハンナはこうしてここに来てしまった以上言い訳が立たない。八方塞がりな状況に頭を抱えた。


「やはり、罪人か!? 大人しくしろ!」


「ちょっと、待ってくださいッ!!」


私の言葉なんて届かず、衛兵は構わず剣を振りかざしてきた。

既のところで交わすが、呆気なく体制が崩される。避けた弾みで前に倒れ込んだ隙を見逃してはくれない。すぐさま衛兵達が私に馬乗りになり、手や足を押さえつけ、持っていたハンナの手綱を奪い取って行った。

ハンナも暴れるが、奇しくも引き離されしまった。


「やめて! 乱暴にしないで!」


唯一、自由な首を必死に動かして叫ぶ。

動かした首から、カランと音を立ててローレル様から受け取った鳥笛がこぼれ落ちる。


「こ、これはローレル王子の!? これも盗んでいたのか!?」


「ちが、違うんです……! 私は、ローレル様と……聞いてもらえれば分かります!!」


「そんな訳あるかッ! 貴様のような、平民にローレル様がお会いするなどとッ!!!」


痛い、と埋めくことしかままならない。

誰か、お願い、助けて……!

涙が零れ目を強くつぶった、その時だった。

遠くの空から、歌声のような鳴き声が響く。それは美しい、あの声だ。

目を開いて、空を見る。太陽の光を背に背負い、その白い鳥は舞い降りた。


「ククル……!」


その名を呼ぶと、ククルは甲高い鳴き声を上げて急降下、そのまま鋭い爪で衛兵の頭を薙ぎ払っていく。


「うわぁっ!?」

「ぐはぁっ!?」


次々とその鋭い爪で襲いかかり、ハンナの手綱を持っていた衛兵はたまらなく手を離した。

その瞬間を見逃さず、ハンナはさっと逃げおおせ、ククルに加勢した。

私を押さえつけていた衛兵たちに、見事なまでの後ろ蹴りを食らわせる。


衛兵たちも山賊と同じように、ばたばたと倒れていく。

すごい、凄いけど……!


「もう、大丈夫だよ! 二人ともやめてッ!!」


私はとっくに衛兵の手から逃れ、ハンナの手網を手繰り寄せる。

それでも、ハンナもククルも攻撃の手を緩めなかった。

これじゃあ、収拾がつかない……!


「ククル、ハンナ、止まれ……! 」


そこに、馬の走る足音。

そして、ローレル様が黒い馬に跨り颯爽と現れた。

その黒い馬の手網を引くと、大きな嘶きと共に後ろ足で馬は急ブレーキを掛けて止まった。

その場は一瞬にして静まった。



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