ふたつの国の行く末
「自分が何をしたか分かっているの」
「それは……」
お母さんから放たれた厳しい言葉に、お父さんはたじろいだ。
「ずっと私は見ていたわ。虹脈様の中からね。貴方がこの国でしたこと、全て知ってる。事情はあったとはいえ、しでかしたことの重要さを思い知りなさい。責任を取らなければ、私は貴方の傍に帰りませんから」
ぴしゃり、と告げられるお母さんからの拒否の言葉にぐっと喉を鳴らすお父さんは何も言わなかった。
ただ、少し時間が経ったあと観念したようにお父さんは分かった、とだけ言う。
「さて、貴方がロイ、いいえこの国の王子であるローレル様ね。初めまして、娘のシオンがお世話になっております」
お母さんはお父さんから視線を外し、ロイさんに向きあった。
ロイさんは、慌てて胸に手を当てて膝を折り挨拶を返す。
「初めまして、いかにもローレル カロラ シオールです。ですが、今はしがない一市民であるロイと申します。どうか、そうお呼びください」
「ええ、そうでしたね。けれど、あなたにお願いしたいことがあります。どうか、私をリーク様に謁見出来るよう取り計らっては頂けないでしょうか」
「リークと、ですか?」
怪訝そうに首を傾げるロイさんに、お母さんは頷く。
「話したいことがあります。この国と姚国の行く末と、虹脈のことで」
ぐるりとお母さんはこの空間を見渡す。
それだけで、ロイさんはそうですね、と全てを察したようだった。
虹脈様の姿がなくなった、空っぽなこの地下を。
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謁見はすぐさま開かれた。ロイさんが全てリーク様に報告したようだった。
謁見は客間で行われる。あのふたつの玉座がある場所で行われなかったのはカロラと姚国が対等な関係を築かなければ行けないと分かっていたからだ。
テーブルを挟み向かいあわせでソファに座るのは私とお母さん、そしてリーク様とロイさんだ。
「この様な機会を設けていただき、感謝いたします」
「いえ、こちらこそ話さなければと思っていましたので」
リーク様はそう答え、お母さんもそっと微笑む。和やかな空気の裏で緊張感が走る。
それでも、お母さんは意を決して口を開いた。
「ご存知と思いますが、この国に渡った虹脈様は全てこの地から消えました。そして、その力は私と娘のシオンの中にあります」




