プロローグ
神とは、人知を超えたチカラを持ち、人々に祝福や賞罰を与える存在であると云われている。
バラマンディ王国、ロッポンギー王国、エディアカラン王国の三国は、それぞれ違う神を崇めているが、崇拝する対象が違っても、根本的な部分は変わらない。
人間は、人知を超えた範疇の出来事に直面した時、神に救いを願う。もはや、頼れるものがそれくらいしかないからだ。
そして、神は信仰する教徒に対し、祝福を与える。
その形は様々だが、中でも最たるものといえば、傷ついた身体もたちまち癒してしまう回復魔法などが挙げられる。
神の代行者たる司教やシスターなど、聖職者と呼ばれる者たちは、特にそれらが秀でており、そのことは冒険者のみならず、町民や村民にも多く知れ渡っている。
反対に、悪魔は災いをもたらす存在として人々に忌み嫌われ、恐れられるものであっても、好かれたり求められるものではない。それは、どの国でも同様だ。
しかし、時には悪魔の手を求める者がいる。それは人知を超えた強さを求めたからか、あるいは神の及ぶ範疇ではなかったからか。
もしかしたら、人にとって自分を助けてくれるなら、それが神であろうと悪魔であろうと変わらないのかもしれない。
人は、ただ――救いを求めている。




