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ブラック・ディヴィジョン  作者: 天一神 桜霞
第一章 悪魔の契約
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プロローグ

「チカラが欲しいか?」

 真っ暗闇の中、誰とも知らぬその声は低く鳴り響いた。

 しかし、何も見えない中で発せられたその声の主が誰か…なんてものはどうでもいい。

 そんなことよりも、その言葉が心の底から魅惑的に思えて仕方なかった。

「何者にも負けないチカラが欲しいか?」

 再度語り掛けてきた声は、こちらの心情さえ見透かして、催促しているようにも思えた。

 だが、答えようにも身体はろくに動かず、声すら上手く出せるか分からない。

 それでも、俺は最後のチャンスを掴むために、魂の雄叫びを上げる。

「…欲しい。誰にも負けない、絶対的なチカラが、欲しい!」

 悔しさに打ち震えながら出た声は、聞き馴染みのある自分の声とは似て非なるもので、、我ながら驚いてしまうほどだったが、想いの強さは聞き届けられたようだ。

「……いいだろう。ならば、これで契約成立だ」

 不敵に笑う相手は、満足気にそう言って話を終わらせた。

 意識も朦朧としている中、チクリと痛みを感じたのを最後に、俺はまた深い闇へ落ちていった。

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