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デビルズ・レヴェル  作者: 夜多柄須
第一章 『悪魔憑き』
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第八話 『再び地下へ』


 シーナを訓練所に送り届けた後に、ルキは応接室にいたサラを迎えに行った。

 するとサラはダイスに口説かれている最中であった。


「サラ殿もシーナ殿に負けず劣らずの美貌をお持ちですな。是非私の親衛隊に加わりませんか?」

「申し訳ございませんが、私はシーナ様に忠誠を誓っておりますので」

「では友人になってもらいたい。近々パーティがあるのだが、是非シーナ殿と一緒に……」


 ルキはサラの不快感を微塵も隠さない様とダイスのそれに微塵も気づかない応酬を暫し楽しむと、タイミングを見計らって声をかける。


「従者の方もこちらへいらしてください。グレース様が用意したお部屋に案内致します」

「助かりました。ぜひお願いします」

「チッ。下っ端のくせに空気の読めないやつだ」


(空気が読めないのはお前の方だ)


ルキは仮面の下で辟易とした表情を浮かべたが、声には出さずサラに手を差し伸べる。


「では、こちらにいらしてください」

「あら。この王宮にも真摯な方はいらっしゃるのですね」

「グレース様の教育の賜物です」

「兄上がそんなことを……?」


ダイスは心底信じられないといった表情を浮かべた。

そして、ルキを訝しげに見つめる。


「お前、本当に兄上の従者か?」

「ええ。もちろんです」

「なら兄上が好きなプレイを答えてみろ」

「グレース様はローションプレイを好ましく思っておられます」

「……どうやら本物のようだ」


(気持ちが悪い……)


 サラは軍時代の兵舎ですら聞いたことの無い男達のゲスな会話に思わず顔を引き攣らせていた。

 だが、サラの軍時代には、周りがサラに余計なことを吹き込むと団長から半殺しにされるという噂(真実)が広まっており、サラは男社会で育ちながらも、箱入り娘のような扱いを受けていた。当然本人は知る由もないことだが。


「お待たせ致しました。ご案内致します」

「……はぁ。ありがとうございます」


(引くな。これも作戦なんだ……)


 ルキは心の中で届かない弁解をした。


(にしても主はよく答えられたのう。……先のは主の好みか?)

(違うわ! お前も昨日あいつがローション数えてたの見てただろ!)

(妾はそもそもローションとやらを知らぬ)

(なら余計な口出しするな)

(それは無理じゃの。主をからかうのは妾の生きがいになっておる)

(勘弁してくれ……)


 ルキは部屋にダイスを残して、サラを地下へと案内する。

 ルキが捕らえられていた場所なら、人目に付くことも無く戦うことができるし、抜け道も覚えているため逃げることも容易であるからだ。

 地下の入口を目の前にすると、サラは足を止めた。


「ここに入るのですか?」

「ええ。まさかとは思いますが、ここがどんな場所かご存知なのですか?」

「……いいえ」

「心配せずとも大丈夫ですよ。怪しい場所ではないですから」


(めちゃめちゃ怪しい場所じゃがな)

(言うな。俺でもわかってる)


 ルキの案内する地下とは監獄であり、怪しむなという方が難しい。

 ただ、部外者であるサラはその事実を知らないはずなので、サラが強く拒否できないことを利用して強引に案内しようとしていた。


「いかにも怪しげな場所ではないですか?」

「外見はそうですね。でも、中でおもてなしの準備もしておりますよ」

「そう……ですか」

「はい。ご安心ください」


 ルキは地下室への扉を開けると、サラは覚悟を決めた表情で地下室へと入っていった。


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