第6話 覚悟
コロシアムの熱気は狂喜とも思えた。
観客は皆、薬で狂ったように発狂していて本当にこれが人間なのかと恐怖を覚えた。
下原はエントリーシートを入り口付近にいる男に渡した。
下原『エントリーシートってここでいいんですか?』
すると男は無言のまま頭を上下に振りエントリーシートを受け取った。
受付の男『開始まで控え室にて待機をお願いします。 そこの階段を降りて一番奥が貴方の控え室になります。』
下原『あぁ、了解ッス』
下原は言われた通り控え室に向かった。
受付の男『...今回は過去一番のバトルロワイヤルになりそうだな。』
そう言うとエントリーシートを集めた箱を手に取り暗闇に消えて行った。
下原は部屋の前まで来た。
控え室は錆びた扉で見るからに古く年期が入っていた。
そしてゆっくりとドアノブに手に取り扉を開けてた。
『ギィーィ...』中は牢屋ほどの狭い空間でボロボロの椅子と机が置いてあるだけだった。
天井は今にも消えそうな電球と放送が流れてくるスピーカーだけ
下原は椅子にとりあえず腰掛けた。
足を曲げた時に義足と足の結合部分が少し痛む。
下原『いってぇ...義足にも慣れて来たけどまだちょっと痛いのが心配だな。 戦いに影響しなきゃいいんだけど... 』
暫くすると外の歓声がさらにボルテージを増したぐらい大きくなったのが分かった。
するとスピーカーから声が聴こえた。
『参加者諸君今から実験体ロワイヤルを開催する。 奥の部屋から順にコロシアムに入場しなさい。』
奥の部屋とはつまり、下原から入場と言うことなのだった。
下原『えっ...俺からかよ!!』
下原は慌てて立ち上がり部屋を出た。
部屋の前には案内人らしき人が立っていた。
案内人『下原だな? 着いてこい。』
下原は緊張で冷や汗が出ていた。
とりあえず案内人の後ろを着いていく。
暫く歩くき入り口前で案内人は足を止めた。
案内人『もうすぐ実況者が名前を呼ぶ。 呼ばれたら入場しろ。』
そう言うと案内人はさっき来た道を戻って行った。
すると突然、会場内に実況者の声が響いた。
実況司会『皆さんお待たせしました。 今宵、第12回実験体ロワイヤルを開催します。 実況司会は私、山畑がさせていただきます。 今回は過去一番の強者揃いで誰が優勝するのか楽しみです。』
山畑は声からして女性のようだ。
歓声は更に湧き。
山畑『さぁ、皆さん前のスクリーンをご覧下さい。』
スクリーンにはトーナメントブロック表が映った。
山畑『今回のトーナメントはA~Dブロックでまず勝者を出し、更に各ブロック勝者とシード権を持つ前回優勝者で決勝ブロックを行います。』
入り口前にいる下原にも内容は理解出来た。
山畑『では、観客の皆さんは参加者入場後に誰が勝つかお手元のスイッチで投票して賭けて下さい。』
歓声と同時に山畑の声がコロシアムに響く。
山畑『さぁ、参加者の入場だぁー!!』
下原は覚悟を決め入り口に立つ。
下原『負けらんねぇ!!』




