第35話 無心
目を開けると白い天井が見えた。
眠らされていたのか、頭が重たい。
自分の体を見ると胸には手術後の傷
下原は自分の体に神浄の決闘因子が流れている実感は余り感じられなかった。
周りを見るとさっきまでいた西丸達の姿がない。
長時間寝ていたのだろうか...?
体の疲労感はさっきよりマシにはなっていたが、倦怠感があった。
神浄の決闘因子が混ざる事で一旦どうなるのか下原も分からない。
その時、声が微かに聞こえた様な気がした。
しかし、誰もいない部屋
下原は目を閉じて声を辿った。
聞いたことのある声
それは、下原の脳に直接話しかけてくる。
その瞬間、フラッシュバックするかの様に凄い情報量が脳裏を駆け巡る。
『...ワシの声がお主には聞こえるようじゃの!!』
下原は声の正体が神浄だと直ぐに分かった。
神浄『お主と話するのは初めてじゃの!! ワシの決闘因子の一部がワシの魂を一時的にお主の中に呼び寄せてくれたわ!!』
下原は少し困惑しながら話しかけた。
下原『神浄さんは何で負けたんだ!? 最強なんだろ!? そんなにあの赤木って人強かったんですか?』
神浄は何も言わない。
神浄『心に喋りかけなきゃ会話出来んぞ!! 少しは頭を使わんか!!』
下原は何故か叱られたが、再度心に喋りかける様に神浄に問う。
神浄『奴が強かった訳ではない、ワシが老いたただそれだけじゃ...フォッフォッフォ』
下原はイマイチしっくり来ない。
下原『じゃあ、俺でもこの大会で優勝出来ますかね...!?』
神浄に直球で質問した。
返事は即答
神浄『絶対に不可じゃ!! 恐らく次の試合で死亡してサヨナラじゃ!! この実験体ロワイヤルを舐めるでないぞ!!』
神浄の一言に下原も納得する。
下原『...確かに1回戦でこのザマですから...次は負けますよね...』
神浄は暫く無言だった。
そして一言
神浄『ワシの決闘因子を授けたのじゃぞ!! 何を情けない事を言っておる!! 今から修行じゃ!!』
下原『!? しゅ...修行!? どうやって!?』
神浄は下原に滅光神拳の全てを脳にビジョンで流した。
その神浄の過酷な修行内容に絶句。
下原『...絶対に無理!! そもそも1日で出来る内容じゃないでしょ!!』
神浄は笑う!!
神浄『フォッフォッフォ!! 冗談じゃよ!! だが、滅光神拳の基礎を学べばお主に変化が出るじゃろうの!.』
下原『滅光神拳の基礎!? 筋トレとかですか!?』
神浄『体を鍛える事はせんでいい!! 必要な事は"煩悩を無くし無心になる事"!!』
それは煩悩の塊である下原にとって最大級の過酷な内容だった。




