第28話 腐食
その頃、コロシアムでは復旧作業が完了していた。
山畑『皆さんお待たせしました。 無事に実験体ロワイヤルを再開させていただきます。』
再びコロシアムは歓声に包まれた。
山畑『ではお待ちかねのBブロック 第2回戦の選手の登場だぁあ!!』
入場口には全身黒に身を包んだ巨大な男が立っている。
その身長は、人ではないぐらいデカイ。
2メートルはある刀を引きずりながらコロシアム内に歩いている。
川下『プシュー!!(マスクから出た煙の音)』
言葉を話さない事から本当に機械でないのかと疑い口々に喋る観客達。
その、まがまがしさは見る者を恐怖させる容貌。
黒いスコープに黒マスク、そしてマスクから肩に伸びるチューブと流れる謎の緑色の液体
そして観客が一瞬目を離しただけなのに、既にコロシアム中央の床に立っていた。
対するは髪の毛か分からないブロッコリーの色のモコモコした頭部に赤く瞳孔が開いた目で全身青白い貧弱な生命体が歩いて来た。
大島『復讐!! 皆殺しだぁああ!!』
憎悪で嘔吐しながら川下のいる中央に近付く。
そして川下を見るなりに奇声を上げて発狂。
大島『キャハハハッ!! 全身真っ黒のこんな大男がいるかよ!? お前も俺と同じ失敗作かぁ!?』
川下は無視したかの様に何も喋らない。
大島『シカトこいてんじゃねぇえ!! お前も俺をコケにしてんの分かってんだぞ!? 生きては帰れると思うなよ!!』
大島は自分をコケにする奴を見ると殺したくなる。
それは遡る事5年前、
まだ人間として生きていた大島はブロッコリー農家で産まれた。
産まれつきかなりの癖毛でその容姿から皆にブロッコリーと言われ虐めを受けていた。
そしてエスカレートする虐めに堪えきれず彼は自殺を考える。
しかし、自殺をしようと思った矢先に1人の男性から実験体になる事を提案され実験材料として改造をされた。
その男性と言うのが西丸である。
しかし大島は決闘因子の適応力が弱く、失敗作と断定され西丸によって施設の産廃部屋に入れられ死を待つだけだった。
だが大島の決闘因子は特殊であり、他の産廃となった実験体の箘を吸い取り大島の体には無数の箘が蓄積されて行った。
5年の月日が流れ、大島は失敗作から箘を操る実験体となり産廃部屋の扉を箘で腐食させ破壊し脱出、そして実験体コロシアムに自分を失敗作として扱った関係者全てを抹殺する為に参戦したのだった。
悲しき過去を背負った実験体が復讐に牙を剥く!!




