第12話 ずっと一緒
下原はまさかの人形兵に向けて一直線に走って行った。
人形『!? 自ら自滅いに行くつもりかキサマ!?』
人形は驚いている。
下原は人形兵の近くまで来た。
人形兵は下原目掛け右腕を叩き付ける様に振り下ろした。
『ブゥン!!』
凄まじい勢いで下原を叩き付け様とした時、下原はそれを狙ったかの様に前屈みになった人形兵の頭上に飛び上がり背中を踏み台にした。
空中で樋尻を見た。
下原『がら空きだ!!』
そして樋尻を目掛け右腕を向けた。
下原『貯め...!!』
右腕に力が入る。
人形『無駄だってさっきも言っただろ!? 身代人形!!』
樋尻を庇うように人形が盾となる。
人形は笑っている。
しかし下原も笑っていた。
下原『止め撃ち!!』
※止め撃ちとはパチンコにおいてアタッカーに打ち込む際にタイミングをズラす打ち方でありパチンコをする人は大抵の人がこれを行う。
下原は痛む体を捻り身代人形の発動とタイミングをズラし、樋尻の左側にから銀玉を撃ち込んだ!!
狙うのは樋尻でも人形でもなく樋尻の左手に持っている本!!
『ドォーーン!!』
凄まじい勢いの銀玉は本を粉々にし地面にめり込んだ。
人形『!! 何て事を...!?』
人形は憎悪に満ちた顔で下原を睨み付けた。
下原『何て言ってるかわかんねぇ!?』
下原は人形をおちょくるかの様に舌を出して耳に詰めていたパチンコ玉を取って捨てた。
人形『キサマぁあ!! まさか"無音"までも防いでいたのかぁあ!?』
下原な更にニッって顔をして人形を見た。
下原が本を破壊した事で樋尻の人形館が消滅して行く。
それと同時に人形兵も唸り声を上げながら闇深く吸い込まれて消滅した。
本は人形と樋尻を繋いでいた禁書であり人形の術はこの本を経由して樋尻が使用していたのだ。
人形『どいつもこいつもオレをコケにしやがってぇえ!!』
人形は樋尻を見て話し出した。
人形『オレはもともとコイツ(ヒジリ)の子供の頃に遊んでいた玩具だった。 一緒に色々な所に行くのにも常に一緒だった。 だが月日は残酷なものだ...コイツ(ヒジリ)はオレを忘れ捨てやがった!! コイツ(ヒジリ)が小学生に上がった頃皆からいつまでも人形を持ってるなんて気持ち悪いって言われた!! たったそんな一言でオレとコイツ(ヒジリ)の関係は終わりを迎えた!! それからオレは暗い闇の中何年も何年もコイツ(ヒジリ)に復讐する時を待っていた。
そんな時だオレは変なおっさんに拾われ色々な実験に使われ決闘因子に自ら進んでなってやったよ!! そしてコイツ(ヒジリ)を洗脳してこの大会に参加した訳よ!!
だからコイツ(ヒジリ)はまだ人間のままなんだよ!!お前と違ってな!!
...まぁ、お前には捨てられたオレ達人形の気持ち何て分かんねぇだろうがなぁあ!!』
下原は人形をずっと見つめている。
下原『あぁ...全然わかんねぇなぁ!! 復讐だの洗脳だの自分勝手な事言うのも大概にしとけや!! 誰だってしたくなくてもついやっちまう事ぐらいあるだろ!? それを許せるか許せないかでこれからの人生は分岐する。
お前はその分岐地点をミスったんだよ!! 許せる心があったらお前はコイツ(ヒジリ)を洗脳なんてしなくてもまた一緒にいれたハズだ!!』
人形はブルブルと怒りに震えている。
人形『だまれぇえ!! オレを怒らせた事後悔させてやるからな!!』
そう言うと人形は変な呪文を唱え始めた。
呪文を暫く言った後
人形『コイツ(ヒジリ)はもう人間じゃなくなる!! オレと一心同体にこれからなるんだ!!』
そう言うと人形は樋尻の胸を切り裂いた。
辺りにはかなりの量の血しぶきが撒き散る。
そして臓器剥き出しの樋尻の中にめり込むように人形は潜り込んだ。
人形『決闘因子結合』
すると樋尻はバタバタとのたうち回り動かなくなった。
下原『おぇーっ...!!』
下原は余りのグロさに嘔吐した。
暫くするとムクッとゾンビの様に樋尻はゆっくりと起き上がった。
しかしそこにいるのはもう、さっきまでの樋尻ではなかった。




