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契約という名の支配


『グガァァァァッッ!!!!』


 その豪炎はダンジョンの壁をことごとく削り壊し、轟音が通路に鳴り響く。


「くそがァァァァァッッ!!」


 灼熱が辺りを包み、目の前が真っ赤に染め上がる。

 そんな中、自分の意思というより、気持ち、根気で飛び退いたリクは、少しでもミルク達を庇おうと直線上に入り、ただ炎が体を蝕むその時を待って……。




反炎(リフレクトファイア)――」




 直後。

 リクの目の前に現れた一枚の壁はその炎を通さんとばかりに通路いっぱいに広がり、一切の炎の侵攻を許さなかった。


「ぐぁっ! って、え、何だこれ……リンさぁぁぁん!?!?」


 それは動けなくなっていたミルクの隣で、少しだるそうに杖を掲げる青髪の少女。

 無理に飛んで背中から落ちたリクはそんな少女に目を見開きながら、ほんっとタイミング最高だな!! と親指を立てる。

 

「…………………………間違え……た」


 そうポツリと呟いたリンは、いいから早く……逃げなよ、と泉色の杖を構える。

 それと同時に、はっ! と動けるようになったミルクは、なんでこんなことにすぐなるのぉぉ!?とあたふたしながらナナミを担ぎ、逃げよぉぉ!! と走り出す。


「くっそ、リンも早く! 逃げるぞ!」


 ドシ、ドシとゆっくり近づいてくる火竜を見ながら、リクは素早く起き上がり猛ダッシュを披露する。

 それでも動こうとしないリンの腕を無理やり引っ張りながら走るリクは、寝てて俺の言葉聞いてなかったから動けたのか、と今はリンが寝ていた事に深く感謝した。


「ねぇリク」

「なんだぁぁ? もう俺、体力ないんだがぁぁぁ!」


 はぁ、はぁと息をきらしながらミルクの背中を追うリクは少しでも遠くに! と背中で感じる熱気に気圧されそうになりながらもひた走る。


「ごめんねリク」

「何謝ってんだよ、いいからさっさと走っ――」

 

 そうリンの方を振り返った時だった。



「さよなら――」



 手を引っ張り続けるリクから遠ざかるように言葉を残したリンは、苦しそうな笑顔で、ごめんね。と涙を流す。

 リクは何やってんだよ早く来い! と、急いでリンの元へ戻ろうとしてふと気付いた。


「俺ずっと手を握って――」


 そう呟きながら右手を見た瞬間、悟ってしまった。


「こ、これ……リンの……………手……?」


 今も右手で掴んでいる体から離脱したリンの手。

 血がポタポタと流れ落ち、血色がどんどんと悪くなる。

 

「なん……で……」


 震える自分の手を抑えながら、言葉にならない悲鳴と共に再びリンの方を見て、リクは絶句した。


『グガァァァッッ!!!』

「……たすけ――」




 グシャッッ!!!!




 そんな惨い音と共に腹部を火竜の剛腕で殴られたリンは、ダンジョンの壁に頭から衝突し、糸の切れた操り人形のようにクタッと地面に倒れ込む。

 

「リン…………リン……?」


 それでもグガァァァァ!! と雄叫びを上げながら近づいてくる火竜。

 小柄なリンの体があんな化け物に殴られたのか……?

 そうグルグルと巡る現実を受け止めきれないリクは、ピクリともしないリンと、もう真っ白になってしまったリンの左手を見ながら膝から崩れ落ちる。


「なんで……なんで…………なんで! なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!」

「リクくん!?……って、リン……さん?」


 逃げる事に必死で気付くのに遅れたミルクは、リクの異常な声に反応して振り返り、やっとこの深刻な状況を理解した。


「何が……どうなって…………」



『グガァァァァッッッッッッッッ!!!』



 それは歓喜の雄叫びか、悲痛の雄叫びか。

 リンの切れた手からカランと落ちた赤色に輝いたリングは、そんな冒険者達を嘲笑うように消滅した――


 



 

 



 

お読み下さりありがとうございますー!!ヾ(^。^)ノ

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