表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SHADE  作者: 真木 雫
21/45

トキテ、知恵を絞る

 おびき寄せる種は()いた。

 これで監視者はこちらを視ることはできない。もし本当に遠視能力者が監視していたら、の話だが。

「リミッターに、こんな使い方があったなんて、知らなかったな」

「まぁ、普通は携行している人の能力を抑えるもんだからね」

 トキテがこんなことを知っているのも、リミッターを持っているのも想定外のことなのだろう。カリンは先程からまじまじとトキテを見ている。

「そんな見られると、な、なんか俺、落ち着かないんだけど……。リミッターのこと知ってるの、そんなに変かな?」

 いや、とカリンが首を振る。

「トキテがリミッターを内緒で持ってたのが意外過ぎて」

 スタッフが、任務外にリミッターを着用していることは一般的である。しかし、エージェントにもなると、リミッター着用の義務は免除される。そのため、エージェントであるトキテが、リミッターを持っていることは意外だった、ということらしい。

「あ、だから絶対、他言無用だからね」

「って言っても、上層部はもちろん知ってんでしょ」

 カリンに痛いところを突かれて、トキテは思わず視線を逸らした。

「え、嘘。アークに黙ってリミッター持ってんの?!」

 いやいや、とトキテは両手を(せわ)しなく交差させる。

「これ、元々俺のだし!」

 リミッターを持つようになった経緯を話すと、トキテ以外の人物のことが大きく関わってしまう。そのことだけは言えなかった。

 今どこで何をしているかわからない、あの人たち。

 彼らのことを、他人に詮索されたくなかった。今となっては、恩義がある。もう、思い出の中の人たちだから―――。

「と、ともかく!」トキテは声を大きくした。「これで相手の超能力を無効化したんだ。次の手を考えないと!」

 超能力の無効化。

 つまり、リミッターである。

 超能力に因る周囲の磁場変動を読み取り、逆磁場を発生させることで無効化するものだ。本来は、着用者の能力出力を抑える目的で、街中で普通に生活する超能力者には着用義務がある。例外はアークのエージェントくらいか。

 アークは、PIST―――超能力者国際安全保障条約―――の特例措置法を成立させ、エージェントの着用義務を無くすために、随分と時間を割いた。この特例措置法は執行されてから、まだ数年しか経っていない。ちょうど、アークのCEOがカーロフからキエロフに変わった翌年である。ここにも、キエロフの改革が垣間見える。超能力者の活動は、この特例措置法によって飛躍的に効率が上がったと言っていい。

 こうした経緯は、当時まだ子供だったトキテの知るところではないが、つまり昔はエージェントもリミッターを持っていたのだ。一般的には。

 実情として、アーク内での着用義務は有耶無耶(うやむや)になっている。特例措置法によって、大手を振って、着用していませんよ、と公言できるようになっただけだから、エージェントの着用義務を律儀に守っていた人の方が少ないだろう。

 だから、だ。

 リミッターの、他の使い方を知る人間は少ない。

 リミッターが、超能力を無効化できるのは着用者の範囲だ。つまり、局所的な無効化である。実は、この効果の範囲を広げることは容易(たやす)い。簡易的なリミッターでなければ、できるのだ。

 トキテはその方法を知っていた。

 そのため、今はトキテたちがいる周囲数メートルの範囲の超能力を無効化できている。これで、遠視能力者はこちらの様子を見れなくなっているはずなのだ。

 果たして、この方法が上手くいっているだろうか。

 トキテは、カリンとの話し合いを続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ