第三十回 やんわりオムニバスNo.5 『呉の評価が低すぎるーーNPC都督達のVRMMO東奔西走記ーー』が出来るまで
本作の起源と問われると、私は前作、『視聴数を稼いでも、ヒーローと認められるとは限らない』が始まった頃です。
その頃より横山光輝先生の三国志を読んで(ちなみに読み始めたきっかけは、よくネットでネタにされてたから)、その面白さに衝撃を受けていました。
『呉の四都督の物語』を発案するのは前作の『#27』あたりの時、『そう言えば呉って人気ないな』って思ったのと、ちょうどその頃PSnowで『真・三国無双7』をプレイしてたのが色濃く影響しています。
それから、前作の終盤あたりより次回作の事をより本格的に考えるようになりました。
ただ、今のような『VRMMO内で不遇な四都督がドンパチする話』になるのはもうちょっと後で、その頃は『現実に美少女化して転生した四都督が、呉の扱い等にツッコミを入れる日常系作品』としてそれを考えていました。
しかし、それだと『話を伸ばすのがつらい』、『個人ブログでやるぐらいの内容しか出来ない』等様々な問題が生まれてしまい。結果、前作が最終回を迎えてもこの案を引きずっていました。
今思い返すと、この前作が最終回を迎えたというのが結構重要な役割を果たしていました。
その後、私はPV数を詳しくチェックしたのですが、もう愕然としました。
完結ブーストを含めても、前々作『子は親の鏡って言うけど、だからと言ってヒーローは正義の鏡とは限らない』よりも遥かにPV数が劣っていたのです。
(前作の反省点とかはまた別の機会にするとして)これにより私は、『確実に人気の出る作品を作らねば』と決心したと同時に、あの案を大きく見直すきっかけを産み出したのです。
始めに考えたのは、なろうの代名詞にしてシェアが大きい『異世界転生モノ』で、『四都督を異世界に飛ばす』というのを考えましたが、それだと話のオチが考えづらいというので、また行き詰まりました。
また、『現実世界の人間が武将の誰かに転生する』っていうのは、もう既にあれこれ出てるので開幕却下しました。
私は途方に暮れ、作成環境を前にしてもネットサーフィンをしてしまうぐらいげんなりしました。
ある日の事、取材の為『周瑜』と検索にかけた所、上辺りに『周瑜の評価』とスマホゲームの攻略記事が出てきたのです。
ここで私は閃きました。『ゲーム的に評価が低い四都督』の発想を。
そこから私は発想を膨らませました、『そう言えばなろうで異世界の次に人気があるのはVRゲームだった』とか、『評価をつけるといったらNPCだな』とか、『RPGだとランクでモノが決まりやすいからストラテジー・ゲームだな』とか……
こうして紆余曲折あって、今の『ランクの低いNPCの、孫呉の四都督が、VRゲーム内で、評価をあげるべく戦争する』っていう大筋が完成したのです。
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続いて考えたのは、物語の核となるキャラクターですが、今回は元ネタがあったのと、前の日常系の時点であらかた考えていたので、わりとすんなりいきました。
周瑜は演義で孔明へ異様な敵対心を持っていたのと、名門であったという事から『プライドが高いワガママキャラ』となりました。一人称がボクで、語尾が『なのだ』だったりするのは一昔前に良くいたおぼっちゃまキャラのオマージュです。
魯粛は演技でのお人好しを過大解釈してああなりました。語尾の『れす』は、一見抜けた感じと、のほほんとした感じをわかりやすくするためです。
余談ですが、PSnowを利用して『無双7』を遊んだ時、私の三国志の知識が100%漫画産だったのと、事前情報を入れなかったので、『この人が魯粛!?』と、滅茶苦茶驚きました。
呂蒙はシンプルに阿蒙時代みたいな脳筋にしました。周りが頭脳派だらけなので、こうしてキャラ差別かできていいと思います。
腐女子設定は『味方である蜀に弓引いた』→『本来相手になるはずでない相手と戦う』→『アブノーマル』という感じで考えました。ぶっちゃけただの脳筋にならないようにするためのアクセントです。
陸遜は一番後輩という訳で、ああいう大人しげなキャラになりました。
ショタっぽいロリという見た目は、よく三国志の作品で陸遜がショタ化される事のオマージュです。
時々残虐性が見え隠れするのは、裴松之の彼に対する評価を元にしています(詳細は各自で)。
他のキャラの解説もしたい所ですが、そもそもこれに需要があるかどうかわからないので、今回はここで切りたいと思います。
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最後に、普段のエピソードの制作について。
私のやり方としては、まずやりたいシーンを考え、それに続く、あるいは繋がるシーンを考えていき。あとはノリで纏めるスタイルをとっています。
時たまに『あれ、このキャラちょっと活躍足りてないな』とか、『この設定も紹介して起きたいな』とか、こちらの都合で作ったりもします。
いるかどうかわかりませんが、ここまで冗長な自分語りをご覧いただき、真にありがとうございます。
これ以降は無駄なオムニバスをやめ、第四十八回まで気合い入れていきますので、どうか暖かい目で見守ってくださるとありがたいです。
【第三十回 完】




