小学生編3
『き、消えた…犯人が消えたぞ』
『やっぱ、夢なんだねこれ。ゲームなわけでしょ』
『あほか!こんな痛いのにゲームなわけ…』
『もう目を覚ましたいよぉ』
『誰か~、先生早く呼んでこいよ』
『やっべぇ。どうなってんだ』
『ニュースでやってた脳のなんたらが凄い事になってるんじゃないか』
『おかぁ…さん…』
惨劇が終わったクラスが慌ただしくなっていた。
現実からロールプレイングゲームの世界に飛び込んだとしか言いようがなく、まだ恐怖が体に残っている。
『つばさ…大丈夫かぁ?』
『ありがとう、よしあき君。命の恩人だよ』
『だろ?恩人だよな?』
こんなときにも、何か催促しようとしているのだろう。
しかしあのときのバリアは何だったのか。そう思い返し名札を見てみる。そういえば名札の中に御守りを入れていたのを思い出し、取り出してみる。
御守りという名目だが、ただの小さい石だ。もともと指輪だったらしいが、ある人にもらった小さな石。
その石をくれた女性が、どんな効果があるかなぁ?と言っていた会話を思い出す。
僕は、確かあのとき…バリアって言っていた。この石はバリアのスキルにするとか、ゲームオタクな事を話して…そして あの人は、真剣な顔で…凄いかもね~って言ってくれた。
会話を思いだしながら、恥ずかしくもなり、石を握りしめる。
その瞬間
○○○の石
ダメージを負う全ての事柄の無効
○○○○の無○○○○○が○○○○○
○○ ○○○○ ○○
そんな言葉が頭に入り込んでくる。気味が悪いが確認したい事が何故か頭に入り込んでくる
分からない所もあるが…
もう一度、握りしめてみる
またも同じことが頭に入り込んでくる。
ゲームだこれ、ゲームの世界。
僕が行きたかった、憧れの異世界と変わらない。
しかもなんで、僕にこんなチートなアイテムが…
俺だけ物理無効魔法無効でゲームしたい。確かに日頃からそう思っていた ゆとり効果なのだろうか
たけし君の炎のように、僕が作りあげたのか?
分からない。何も分からない。
ただ、クラスメートが絶望の状態にあるなか、何故か自分だけは安堵している。
むしろ…喜んでいる
『おぃ、つばさぁ聞いてっか?まじで頼む。時間がおしい』
話しかけられているのに気付き、現実に戻る。
『ごめん、もっかい聞かせて』
『…お前も…行きたくないってか』
苛立つ よしあき君。そしてクラス中に大きな声で全員に話す。
『お前ら、心配じゃねぇのかよ!弟、妹いねえのか!』
『いや先生もいないのに勝手に動いたらいかんやろ、一人で行けや』
『まだ化け物がいるかもしれないぞ』
どうやら、よしあき君は2年生の弟が心配で、みんなについてきてくれ、といったが、断られているらしい。
あの惨劇の後だ。びびってしまうのも、無理はない
よしあき君は涙をながしながら、誰か助けてくれと、クラス中にお願いしている。
僕は弟がいないので気持ちは分からない。そう思った時、
『よしあっ君~、見てらんねぇぜ。つうかさ俺になんで声かけねぇの。伝説の魔法使い様によぉ』
たけし君がいつもどおり、おどけてみせる。
いつもふざけているが、なんか少しカッコイイ
なんだかんだで、よしあき君と たけし君は仲がいいから、見過ごせないんだろう。
しかしクラスメートから止められる。たけし君は、最終兵器だからなんたら言われている。
僕は、石の事が頭から離れないでいて、この不思議な
世界をもっと見たくて、思わず
『よしあき君、僕が行くよ』
そう、新しいゲームを始めるような感覚で言ってしまった。
『さ~すが、つばさ~。おら!離せや。自分の事は自分で決める。俺も行くぞ~、俺様に任せとけぇ~‼』
『つばさ、、たけし、、、ありがとう、、』
ほんの少し勇気を出した僕は、この時初めてクラスで注目されたかもしれない
なぜか誇らしい気持ちで、よしあき君と たけし君
の3人で2年生の教室に向かうことになった。