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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第1章 7歳までの軌跡(〇〇式英才教育基礎編)
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28 移動中のテンプレ?な出来事

 読者の皆様どうもこんばんは。なんとか投稿間に合いました。


 それでは今週の不憫をどぞ!




 裏ギルドのギルマスへの伝言を浮遊霊に頼み、街道を突き進む。一応茸婆も一筆つけてくれたので多少遅れても大丈夫だと思う。何より、この件を放置したらあかんと勘が告げている。


 とはいえ、このまま順調に道を行けば半日で着く。順調(・・)に行けば。



「やっぱり居るな…」



 待ち伏せているのは恐らく盗賊の集団か…大方領主或いはその周辺にいる誰かとつながっていると見ていいだろう。


 根拠は有る。さっきから怨念や憎悪を漂わせている連中が訴えかけてきているんだ…こいつらを殺せ、仇をとってくれと。できれば娘と妻を助けてくれと。仲間の行く末を見つけたら教えてくれと。


 商人風の恰幅の良い人の良さげな男。護衛と思しき皮鎧と冒険者複数名。商人は死因が頸動脈含めた太い血管の損傷による失血死。冒険者は…これはひどい。数名は鈍器で殴られたらしく脳が溢れており、一部は体の半分を失っている。いわゆる学校の人体模型ジョニー1/2状態とはこのようなことを指すのだろうか。


 初めて見たときは吐き気がこみ上げてきたものだが、慣れとは恐ろしいな。こういう悲壮な光景を見ても、対して動じなくなってきた。死んでからそう経っていない、強い未練を残す霊は力をつけるか契約主を見つけるまでは大体死んだ直後の姿をしているから仕方がない。


 今回の連中は恐らくそれほど時間が経っていないのだろう。証拠にうっすらだが肉体と魂をつなぐ精神の切れた痕が残っている。


 ふむふむ…生前はまともな商人と冒険者か。これは契約すれば良い教師になるかもしれない。特に私に欠けていると皆から指摘される“常識”とやらを学ぶための、な。



 だが、圧倒的に時間がない。けどここでチャンスを逃せば…ウムム、難しい決断だな。だが、ここは…ん、そうだ。名案がある。



「なら、他力本願になる前に君たちがやってみるか?」



 そう言って、土塊から比較的鉄成分が豊富な土壌をケイ素多めの土壌と混ぜてから人形を作る。本当なら鉄100%の展性の富む素材がいいと思うがそこまでのレベルにまだ達していない。それに何度もいうが時間が圧倒的に足りない。


 適当にその辺は済ませ、完成したのは土偶の様な土人形。



「ではでは、参りますかね。」



 略式の術式を組んだ神を土偶へ貼り付け、そして呪詛を唱える。すると先ほどまで周囲を煩いほど囲んでいた霊達は次々土偶へと吸い込まれていった。同時に土偶は激しく回転を始める。


 グルグル…ギュルギュルギュル…ギャリガガガガガ


 段々と速度を上げて回転は目で追えないほどになる。そうなって来ると火花が飛び散り、摩擦による激しい音がなる…空気は凍ったかの様に冷えたままだというのに。恐らく結界を張っていなければ真っ先バレていことだろう。


 さて、そうして回転は止むことなく周り続けて土偶のあった場所に煙が立つ。それぞれ色は異なる…冒険者達は青と赤、或いは紫がメインか。商人はなぜか黄緑。煙はキラキラと光を発しながら上へと昇っていく。恐らく結界を(略)


 煙が晴れると、そこには人の良さげな商人と護衛と思しき立派な装備の冒険者達がいた。但し、先ほどと違って全くの無傷(・・)で。



「は?」「「え?」」『「??」』



 混乱した様子で自分の姿を互いに確認し合う冒険者と商人。そこで私は釘を刺しておく。



「仮初めの肉体だ。目的が済むか私へ害を成せばすぐに解かれる。」



 連中は驚いた様子で私を見つめる。



「こ、子供!?」


「…事実だが、中身まで子供かどうかは油断しないことだ」



 まあ次の生、あるいは霊として在るならばと付くがな。


 実際私などは外見詐欺もいいところだ。精神年齢は多少肉体に引きずられていたとしても(三大欲求とかも含め)、殆ど思考は生前と変わらない、いや、それ以上に成長している。例外としてギル(魔王弟)なんてのもいる。中身子供な中年だからな。世の中面白いもので有る。



「さて一応言っておくが、私はこの先を急いでいる。恐らく君たちが襲われた元凶へちょいとお灸をすえに行って来ることになるだろう。今から行けばついでに仇を打てる。黒幕も憎かろうが、連中に乗った実行犯もよりいっそ憎いだろう。」


{当然だ}



 返事をする声が、悪霊特有の瘴気を含んでいた…現の人が中てられてると何かしら健康被害か精神的打撃を受けることになる。ついでだが、私へは最早効果が無いらしい。確かに親父と暗黒料理(ゲテモノ)の方が何かと強烈故免疫でもできたのかもしれない。


 親父の強烈さに内心改めて戦々恐々としながら、淀みなく冷静に言葉を続けた。



「私は私の秘密を一部開示てしてまで君たちへ仮初めだが生前より強い肉体を与えた。更に武具もいくつか貸そう。連中に対抗どころか余裕で痛めつけられる程度のものを、な。」



 ジャラジャラと音を立てて召喚陣から武具を出した。魔王に習った武具取り寄せと自作の移転の合体技。まだ試作品だが試運転にはちょうど良い。中身は私作の中級品、修行で出来た産物・試作品だ。一級品ほどでもないが、素材と教師がいいのでそこらの下手な武器屋よりは品質は良いだろう。


 まして、あそこにいる貧相な盗賊の持つ錆びついた鈍器など一発で壊せる威力はある筈。


 商人はあんぐりと口を開けっぱなしにしていた…恐らく品質と粗雑な扱いに驚いているのだろう。所詮失敗作なので普段蔵に入れているもの、今回の様なことでもなければとくに有効活用できる機会なんてない。一般に流通させるにしても市場で値崩れ起こしそうだしでどころバレても面倒。何より普通より強力すぎる武器は争いを呼ぶからしまっておくに越したことはないのだ。


 硬直から直った商人は、私の目を見ながら真剣に言葉を紡ぐ…子供だと侮った様な態度は取らず、飽くまで対等(・・)に。



「では、ここまでしていただいた対価は?」



 よくわかってらっしゃる。グゥッと笑が漏れそうになるのを耐える。だが自分の口角が三日月の様に弧を描くのはどうやら止められない様だ。


 少し青くなり、ゴクリと唾を飲む商人とその護衛一行。その視線は真剣で、緊張感に孕んでいる。いい、実にいいぞ。やはりそうでなくては。



 彼らに向けて、私は答えた。



「対価は…






◆□◆◇◆□◆◇◆□◆◇◆□◆




 ゴンの背に乗って爽快に進む街道。私は満足気にニンマリと頰を緩ませることをどうやらやめられない様だ。


 そりゃそうだ、なんせ必要な仲間を得たのだから。



「フランベルク商会会長、それからA級冒険者『銀風』」



 久々に見るステータス欄に表示された契約者一覧を何度目になるかわからんが、ちゃんと存在するかどうか確認する。そして目に入るたびににやけが止まらない。


 有名どころの商人と冒険者ゲット。これでやっと世界の流れがわかる。



 そのついでに面倒ごともとい共通の敵(障害物)も押し付けられたし相手も満足、これぞまさにwin-win関係。



 そうこうしているうちに隣町が見えてきた…あっちと違って門がちゃんと存在してる様子。さらに大きさや人の気配もあっちと比べて大きい。さすがは領主の根城ってところか。


 それにしてもウォルターさん、派手にやっていらっしゃる。うっすらと争いの気配や煙の臭いがする。


 さて、そうなると着いたらとりあえず特攻かけないといけないか。今のうちに装備を確かめておくとしよう。と言っても得物を帰るだけだが。


 今まで使っていたマインゴーシュと短剣は仕舞う。そして取り出すのはやっと使用許可の降りたばかりのブツ。封印布(勝手に使用できない様に保護する布)を解き、中身を取り出す。


 ああ懐かしいな…



「やはり一番手に馴染むな。」



 友人に引きずられて連れて行かれた某国で、ある一族に伝わる剣術を習ったことがあった…行き倒れに1度飯を奢ったことに対する恩返しと言う、割としょうもない事情からだったのだが。友人がある意味図々しい奴で良かったと思えばいいのか?


 そのおかげで地球では何度も命拾いしたのは事実。銃刀法違反だったのだろうが、なぜか全然気づかれなかったからな。


 ブンと一度空を切り裂く。



「うん、いい感じだ。」



 これなら刃渡りも十分…流石は元物騒な戦闘民族の伝統武具であっただけはある。これなら大多数相手に大立ち回りしてもなんとかなるだろう。と言うより、ならなかったら困る。

 得物を一旦仕舞う。


 そうして敵地である街へと、歩みを進めた……ゴンが。



 ※盗賊はスタッフがおいしくいただきました。


 どんな武器使うかは次回開示します。それでは次回もどうぞよろしくお願いいたします!

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