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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第1章 7歳までの軌跡(〇〇式英才教育基礎編)
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17 トラブル香るキセツ(19/11/10改稿)

 読者の皆様どうもこんばんは。それでは今週の不憫をどぞ!





 嗚呼揺れる、何かに揺られている。



「………〜、〜〜……」



 幻か雲か、ふんわりした何かに包まれ空を漂っている様な感覚だ。



ゆらりゆらゆらゆらりゆら

ゆらりゆれゆく、ゆくさきは


ゆれてゆられてゆすられて

ゆれゆくゆくすえ、ゆめのごとし



「!?……〜、〜〜……………」



 何かが封じられる感覚に驚くが、抵抗できず意識が沈められていく。


 嗚呼でもその方がいいか、まだ起きない方が。うん、今はこれでいい。これでよかったんだ。

 何故か、そんな言葉が脳裏に浮かぶ。そして私はまた、夢の中へと誘われた。






 目醒めまでまだ掛かりそうか。少年の額へ手を翳しながら、現状を思案する。


 だが、それも致し方なき事なのだろう。

 今覚醒されても困るのは此方。だからこうして封じるのは、それ程問題ではないかもしれない。何れ遂げてくれるというなら根気よく待っていようじゃないか。

 それよりも成長を待たずして覚醒された末に殺される方が、余程困る。現時点で■■■に抗うのは難しい。であれば、生き残る術は気付かれないことのみ。


 だからこそまだ目醒めの兆候が出ていない事に一応安堵した。同時に落胆もしたが。


 覚醒にはまだまだ時間が掛かる。致し方ないのはそうならない様鍵をかけたから。ゆっくりじっくり時間を掛けて成長してくれる様。本当はすぐにでも覚醒してほしいところだが、こればかりは致し方がない。


 そして残念ながら、掛けた鍵は万全ではない……解錠する為の『鍵』が次々自らここへ導かれて来ているのだから。


 順調に『鍵』が集まり恐らく後数年しないうちに殆どが解錠される。そんな事態となるだろう事は容易に想像が着く。それを嬉しくも、恐ろしくも思っている自分がいる。

 一応最後の鍵さえ集まらなければまだ何とかなるようにはしておいた。だが封じた物が物だけに、決して油断できないのである。あんな劇物、本来ならない方がいい。しかし、現実必要であり、それも今すぐ欲しいくらいであった。


 嗚呼もどかしい。

 何とも難儀な事よ。


 そして、選ばれた少年が不憫でならない。前は異物、今は玉手箱。


 それも本人の意識しない所でいつの間にそれらを背負う事になっていたのだ。

 責任はもっと別の所に有ると言うのに。強いて言うなら組織の品質管理が崩れたしわ寄せか。管理体制側に問題が有り、その保証の方法にも重大な問題が合った事がそもそもの原因。



「今はまだ眠れ、眠っていなさい。」


「……〜、…………」



 最大限フォローはするが、自力で対処出来る様鍛えねば。

 それが少なくとも我ら(・・)の役目であり、そう望んでいるのだから。




◆□◆◇◆□◆◇◆□◆◇◆□◆




 目が覚めると既に日が昇っていた……どうやら連日ハードスケジュールだったせいで寝坊したらしい。今何時だろうか。


 手の中に居る小さなモフモフを愛でながら窓の外を見る。



「…寝過ぎた。」



 時間は既に12時を過ぎているのだろう、しかも昼間の方。太陽の位置が、真上になっていた。

 確かに昨日寝たのは夜の4時過ぎだったが、それにしても寝過ぎ。少しばかり骨が痛いのは成長痛だろうか。何となく普段纏っている魔力も雰囲気が複雑目に変わった気がする。気のせいだろうけど(気のせいだといいな)


 部屋の隣にある姿見で全体を見て見ると、確かに昨日より雰囲気が変わっていた。具体的にどこと言われれば、強いて言うなら色彩と言うべきか。それとも顔つきと言うべきか。


 いや違う。いい加減現実を見よう。



「これってまさか……」



 異世界でどうやら、刺繍デビューすることになった模様。しかも顔面て……また露骨な位置に。


 頬に痣みたいなのがついていたのでよく見て見ると、動物の牙と稲穂の様な形状をした何かがついていた。その下には何故か鋭い刃のマーク。傷痕っぽくて不良みたいだ。


 7歳にして不良。確かギザ○ザな心臓の某子守唄であっても15がデビューだったと思ったが。思考を逸らしているのはわざとである。

 だが、鏡の自分が遠い目になっているのが見え、いやでも現実だとわかってしまった。



 そして自分の見目で変わった髪と目の色。微妙な変化だが、確実に印象は変わった。



「前も派手だったが、これまた派手な感じだな。」



 前は緑髪赤目と文面だけ見れば不気味な印象の色彩。現実は、金髪を抑えた様な緑とオレンジに近い赤色だった。勿論、然程違和感は無かった。

 ただ、色彩が仮に髪と目で逆だったらより違和感なかったかも知れない。黒目黒髪(或いは栗毛色)がメインの日本人だっただけに、結局慣れるまで違和感を感じたが。


 現在は緑髪赤目、文面のみだと。現実は大きく異なる。

 緑は銀髪へ黄(微量)と青を汚い感じに混ぜた感じの色を付けてわざとくすませた色彩。赤目は赤色と言うより紅茶色だ。前より紅色に近い感じにした後少し茶色を入れたイメージだろうか。


 一応くすんでいる。くすんでいて地味になってくれてもいい筈だ。

 だが隠しようもないこのキラキラエフェクト。

 私の肉体が私へ向けた嫌がらせなのだろうか。派手な事嫌いな私に対する恨みか何かだろうか。


 そこでふと、親父や魔王の容姿を思い出して肩を落とす。


 親父は幽霊だからか紫掛かっていてもしっかり銀青の髪と氷青の目。社交界で『外道』、『陰険』以外にも主に女性から『氷の貴公子(笑)(カッコわらい)』と呼ばれていた事も納得である。


 一方の魔王は派手な金色のでかい角が2本、髪の色は黒紫で目の色が紅色、光彩は金色と来た。髪は色だけ聞けば安心出来るのだが、どこかメタリックで光沢が凄い。目の色はコメントを控える(というより、どうコメントしていいか戸惑う)


 これはまた、隠すのに苦労しそうだな。思わずため息が漏れ、遠い目になった。

 茶髪にするのに染料とか新たに調達しないといけないだろう。目の魔術式も更新が必要か。


 そうでもしないと身分がバレることになる。


 この世界ではmどうやら貴族王族階級しか派手な色彩は基本持っていないらしい。だからか、見た目で貴族以上かどうか判断できる。

 特に公爵家や王族等『高貴な身分』になってくると金髪銀髪は普通。親父も私も恐らくその血が流れているのだろう、そんな色彩をしている。尚、魔王は知らん。


 例外は、遠い東にある異国では濡羽色と呼ばれる漆黒。皇族の家系では普通と聞いて、日本が恋しくなった。


 そんな事情から、平民として平々凡々平穏無事に生きるには派手な色は隠すべきなのである。そうでないと、連行される。

 仮に私の名前を調べられたら、生家へと連行されるだろう。全ては、技術の発達が中世レベルなのに魔力研究は盛んなこの世界(というか大陸)の謎文化のせいだ。


 私の場合、特に育て親が他国、それも敵対貴族らしいので厄介な状況下にある。既に名字が親父のものに変わっている事から生物学的な親側では鬼籍に入っているだろうと想像出来るが。

 だから、今頃戻って来られても多分家督争いとか身内の醜い争いが待っているだけだ。勿論見付かっても知らん顔して全力逃走するしかない。


 それに、嫌な予感しかない事実が一つある。

 何故か親父との関係が遠い親戚という複雑な事実が。敵対していたのに血が入っているという謎である。もうこれには地雷臭しかしない。

 親父の家系は少なくとも嫌われていた。嫌われすぎて、無かったことにされているほど。お陰様で存在感が消え、誰にも悟られずに赤子だった私へ憑き、顕現出来たのだとのことだ。


 他にも色々地雷的な話題はあるが、一旦置いておく。


 今問題なのは、見目の変化が後々厄介事を呼び込む予感がすることである。今世の私はどうやらトラブルに好かれ過ぎている。魔王然り、親父然り。

 裏ギルドも予想の斜め下の厄介ごとが色々ありそうで怖い。金づるとして今は関係保っておくが、危なくなったら逃げおおせる程度に距離をとるべきだろう。

 幸い逃げ場はここにある。逃げ切れるかどうか別として。


 それ以前にすでに手遅れでフラグが色々乱立している気がする。だが、気のせいにしておこう。でないとやってられない。目から鼻水が垂れる。


 嗚呼、良く寝て疲れが癒えた筈なのになんだろう、凄く疲れた。鏡の自分も随分草臥れた顔をしていた。次いでに影まで背負ってる。平穏に暮らしたいのに。ただそれだけなのに。




キュオン?




 まだ眠そうに前足で瞼を擦る銀狐……いや、もう既に白金色の狐といってもいいかもしれない。昨日バタバタしていたが風呂上がり掃除してから軽くブラッシングしたらモフモフ通り越してフワフワになったのだった。触り心地は神。


 クワッとあくびをしてのっそのっそこっちに近付いて来る様子は何だか覚束ないけど可愛い。そして心配した様にどうしたのと言わんばかりに胴体スリスリ。その攻撃の前では私の悩みなど空の果て宇宙の隅へとすっとんでいった。


 我ながら単純、けどああ癒される…


 勿論本獣の許可も何となく頂いた雰囲気だったので、巨大化したその胴体へ向かってルパンダイブした事は言うまでも無い(※服脱いでません)。ボフンと潜るった極上の毛並みと洗い立てのハーブの香り、そして温かな体温。


 二度寝、しちゃおうかな。うん、しちゃおう。


 きっと許されるはず。許されるべきだ。私凄い頑張ったのだから。

 色々とキャパをオーバーした(と思う)ので、7歳児にして初ストライキを起こそう。今日くらいはのんびり過ごしたい。平和を享受する権利は人類皆平等に与えられるべきなのだ。そうでない世の中が悪い。



「お休み〜」



 穏やかな心臓の鼓動と寝息が私以外で2つ程聞こえたので、それを子守唄に再び極上の抱き枕に埋もれて寝るのだった。












 狐の名前は結局『ゴンザレス』にした。


 せっかく狐なのでゴンって呼びたい。だが、中世ヨーロッパでゴンは無い名前だろう。そうして散々悩んだ挙げ句、全自分満場一致で西洋人ぽくゴンザレスに決定した。本狐もそれ程気にしてなかった。


 尚、魔王と親父には生暖かい目で見られた。


 割と良い名前なのだがどうしてあんな目を向けられたのか。文句を言えば、今度は信じられ無い物を見る様な目で見られた。きっと相手は変なテンションかそういうお年頃なのだろうと無視しておいた。




 先週は1話分しかお送り出来ず申し訳ないです。そして今週も執筆出来たのはこの分のみです。


 実は今、リアルで体調を崩した結果色々滞っている状況です。多分来週には体調治ると思いますが、今は風邪治す方に専念したいと思います。喉元に来る風邪はとても辛いです。皆様も十分気をつけて下さい。


 それでは次回もどうぞ宜しく御願い致します。

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