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もし〇〇が仲間になったら(〇〇式異世界英才教育〜憎まれっ子よ、世に憚れ〜)  作者: 平泉彼方
第1章 7歳までの軌跡(〇〇式英才教育基礎編)
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13 〇〇のキックは危険な香り

 読者の皆様どうもこんばんは。それでは今週の不憫をどぞ!(ブックマーク有難うございます。)



 ポーションの在外処理が案外早く終わったので、片付けにも時間がかからなかった。

 時間的に丁度良いので一度拾った魔王(弟)の様子を見に行こう。場所は客間の一室を現在保健室(と言うより病院の個室)として開放している。



「…世話になった」



 扉を開くと、そこには一見完治した様子の魔王(弟)が居た。相変わらず小柄で、とても『魔王の弟』や『鬼型魔族総代』という肩書きを持っているようには見えなかった。尚、やっぱり私が止めになった模様。


 近づいてみると、どうやら完治しているらしい。少なくとも健康状態の項目では良好以外の文字が見当たらない。



「まともに治っていた、だと……」



 明日は三千世界から槍や烏でも降って来るだろうか。

 驚きに目を見開いたまま、主治医2名(外科・内科)をしている幽霊へ向く。すると、無精髭を生やした薄汚れたおっさんと、太った神官服のおっさんが目に入った。顔の胡散臭レベルは大体同一。



〈なにもそんな驚かなくたって良いじゃないっスか!俺っちだってちゃんとやるときゃやるっスよ!!それより給料上げるっス〉


〈そうだそうだ!サンプルと食材と酒もっと集めろ!!〉



 やけに殊勝な態度で治療していると思ったら、やはり結局それが目的だったか。期待して損した。


 語尾が『〜っス』で下っ端風の医師が『パッシレイ』。下の偉そうなのが『ピヨテルー』。生前に前者はパシリ、後者はプヨプヨしていたらしい。名は体を表すと言うが、ここまで酷いと流石に可哀想になった。


 事情を聞けば120°くらい見解が変わった。


 生前パシリは上司の研究費ちょろまかしたため流刑後、病死。ピヨピヨは賄賂と寄付金強奪、他諸々やり過ぎて蜥蜴の尻尾切りで獄中死。強奪マネーは全部個人的な研究費に消えたとのこと。

 ここまでならきっとまだ同情に値すると思うだろう。

 この2人、方や賭博、方や美食の趣味を持っており、これさえなかったら給料で十分賄えはずだったのである。

 給料と研究費の数値を元に計算した上で指摘したのだが、怒られた。私は浪漫を分かっていないとのこと。果たして私が間違っているのだろうか。


 後日、元貴族の親父と元魔族の王様に尋ねた。すると、私が間違っていると言われた。

 親父曰く、そんな部下は見付け次第(文字通り)首跳ばすとのこと。魔王曰く、使い込んだ資金完済まで毎日ぶん殴る等の見せしめを行うとのこと。そうでもしなければ部下の前に示しがつかないと言っていた。

 そして2人からは、あっさり自身の配下にした私の対応は甘いと指摘された。


 さらに後日2人の待遇に関して検討し、我が家で研究資材ちょろまかした件に関して結果を出していない分は罰としてHANAKOさんラバーカップ男子便所の刑に処した。効果は覿面。


 半年前それで色々懲りた筈なのだが、最近また少し調子に乗っているらしい…HANAKO先生出番ですよ。



「今日の報酬分サンプル増やしても良いけど、贅沢品に関しては君達幽霊だから必要無い」



 研究費も必要な資材も全部提供している。特に試料は私が直接人外マ境へ取りに行っているので鮮度が高い。それなのに、顔を会わせると毎度グチグチグチグチ文句を言う2人。贅沢品没収は当然として、研究費も見直す用意がある。



「何だと!」「そりゃないっスよ!」



 花子先生出番ですよ。


 サッと青ざめる2人。一瞬でトラウマなのかHP(幽霊仕様で0になると気絶か消滅)がレッドラインに。

 HANAKO先生よ、一体前回は何をなされたんだろうか。男子便所の詰まり解消ラバーカップ以上に恐ろしいものとは一体。想像したくないので無理やり思考を切る。



「一応報告してもらった結果良くやっている様だから今回の件は不問にしておくけど、私の食量倉庫に満盈していると思しき鼠は君達だって特定している。その分は後日沙汰下すから。」



 勿論逃げないよね?


 真顔でそう伝えると、元々死人らしく土気色だった顔色が土そのものになった。そこから全身に茸生やして崩れ落ちた。だから間に霊茸は採取。HPが0になった幽霊が死ななかった場合特有の霊茸は、キクラゲみたいに耳たぶ上の茸。用途は色々。食用にもなる。


 それにしても前から疑問に思っていたが、落ち込んで茸って普通生えるだろうか。洗濯物数ヶ月うっかり放置して茸生やした友人の話しは割と聞いた事があるが(※実話)

 今思えばどうやって『死の天使(劇物)』があそこから生えたんだろう。


 次いでに友人は何故にあんな怪しい茸を採取して食べようとする残念な思考をしたのだろうか。

 普通に考えて自分の下着(パ●ツ)から生えた茸を食べようとするだろうか。後、止めた私は褒められこそすれ怒られるのは可笑しいと思う。それとも止めない方が良かったのだろうか。


 遠い目しながら偉大なる花子大明神先生()に踵掴まれ頭を引き摺られる馬鹿2人を眺めた。

 段差を通る度に酷い音が聞こえるが気のせいだった事にしておこう。幽霊であり実体無い筈なのに音が出ている事についてはもうそういう仕様なのだと諦めた。


 暫く男子便所(反省房)の床で頭を冷やして来るが良い。と言うか真面目に反省してくれ。


 このままだと確実に我が家の二大人外(ジャイ●ン)に目を付けられる。部下・家臣の不祥事は許さないあの2人は私と違って慈悲()容赦()も無い。更に連帯責任で私もとばっちり喰らう未来が見えた気がした。最悪被検体枠でドキドキバクバク最新毒物・最新魔術式実験(意味深)させられる。


 先生は私の視線を感じてなのかサムズアップしている。漢より漢らしい少女、HANAKO先生。性格イケメン過ぎて時折渋い背中と夕日をバックに背負っている。

 本当、2人のことお願いします。


 やはり、あの某青いつなぎ姿を教育係にしないで正解だったと思う。

 奴は召喚する度アーッ♂を狙ってくる。2人のお仕置きを頼んだら最後、第二、第三の青ツナギJr.でもできるのだろうか。本当、最終手段である。

 尚、契約結ばされた時のあの惨憺たる思い出(トラウマ)は封印中。一応貞操だけは死守したが、魔王と別の意味で夜中トイレ行けなくなった事は言うまでも無い。

 奴は妖怪か何かなの類か。

 神出鬼没で何処からでも何故か現れケツを狙って来る。逃走不能。トイレに連れ込まれたら諦めてくれるまで結界張る(篭城)しか手がない。家でも気付いたら奴が居たは本気で勘弁願いたいものである。修行と思っても、耐えられない。無理、アウト。モザイクがかかるソレを露出させながら追ってくるのは修行と呼べない。

 あれならまだ◯鬼小規模スタンピードの方が、プチっとすればいいだけだから。青◯ならぬ阿◯鬼は貞操的な意味で危険すぎた。


 尚、本人同士の合意の上なら別に否定も肯定もしかねるが、私自身同性とそういう関係へ強引になる事態生理的にも物理的にも生物的にも受け付けていない。◯部鬼に対してもちゃんと正式にお断りした。同時に私は現在7歳で、年齢・容姿共にアウトだとも伝えた。それでも『構わず食っちまう』らしいが。


 もしや、周囲が煽っているのが原因か。主に妖怪。我が家のオバケ屋敷化現象の賜物。


 どんなに頑張っても順調に数を増やしていく妖怪勢。今では百鬼夜行出来そうな数と契約している。一部はいつの間にか居候していおり日々食料庫にも湧いて出る。

 神出鬼没なのは、ぬらりひょんとかぬらりひょんとか口裂け女とか。勝手に客間使って夜な夜な宴会しており、酒と食量の減りがやけに早い原因はそれかと思われる。

 注意した所で恫喝されるので、従魔の筈なのに基本放し飼い状態。どこの不良ですかな完璧無法地帯。早く強くなりたいものだ。


 さて、●部さん最近ご無沙汰していたので多分そろそろ出現するタイミングだ。何故か本格的に狙われるの私だけだから気を付けよう。後でライダーの護衛場所を部屋の入口と部屋内部にしてもらうか。



「それで待たせたな、魔王弟。どこも変なところ無いか?」



 念のため確認。

 あの2人腕は本当に良いのだがあの調子だから不安になるのも仕方ないだろう。だが、本当に問題ないみたいで重畳。



「なおしてもらったから大丈夫だ。それよりそのよびかたはなんとかならんのか?」


「名乗られていないから名前知らない。」



 特に、自他共に私のネーミングセンスは虚数軸直下中と認めているので、敵や親しい連中でも無い限りは許可無く勝手に渾名付けないことにしている。



「そう言えばそうだったな……」



 魔王の弟は一瞬悩んだ顔をしたが、直ぐに何か決断したかの様に顔を上げた。



「オレは魔族連合王国デルディア最高武官の第二子、ギリス・フェルドラート・サブチネス……そして前魔王ジルス・グラヴェール・サブチネスの弟だ。」



 いきなり成人らしい話し方に変わったため驚いて一瞬固まった。だが、ちゃんと名乗ってくれたのだから返さねば。



「ならギルでいいか?」


「ギルか。あたらしいがわるくはない。」



 珍しい事に名前関連で褒められた。明日は本当に血か鉄菱が降るかも知れない。




◆□◆◇◆□◆◇◆□◆◇◆□◆




 念のため作っておいた粥を出したら喜ばれた。我が家の魔王襲来の一件で食料庫が崩壊したので何も食べていなかったらしい。その上異様に美味しい美味しいと涙流しながら食べていた。


 片手間料理で味付けテキトーな栄養満点粥が美味しいという事は余程魔王国の料理が不味いか雑なのだろう。或いは空腹はスパイスって奴か。


 5杯辺りでやっとお腹が落ち着いたのか食べるペースが落ちた。随分健啖である。良い事だ。これ程喜んでもらえるならこれからの生活はきっと大丈夫だろう。食事を美味しそうに食べる奴に悪い奴は居ない、多分。


 一旦思考を切替え、相手を見る。


 やはりまだ私の事は信じて用いる気持ちにはなったが信じて頼る事は出来ないか。出会って一日目なら仕方が無いとは思う。だが、事情は有る程度話すのが礼儀だと思うのだが。特に保護先なら相手を巻き込む可能性を考え最低限伝える事が普通。側近ポジが代役する手もあるが、王座を見る限りでは側近は皆無なのだろう。


 その辺りも含めて魔を統べる為の王として国の舵取りするのには不向き、か。却って今回私に負けて良かったのかも知れない……あの後あの魔王城がどうなったか知らないが。


 事情が分からない以上この案件は一旦放置だな。最悪何が来ても有る程度は対処出来るだろうし、我が家の魔王や親父が。私は一般人だからさっさとトンズラするか家の防御機能に頼るけど。人生とは逃げるが勝ちだ。



 そして、本日の本題に私は取りかかった。



「波津香ちゃん、毛並み整えようか」



 契約したばかりに二十日鼠らしき生物を優しく魔力を乗せて撫でる。波津香は目を細めてそれを受け入れるも、次の瞬間驚いた様にさっと逃げる。だが少し遅かった様だ。



「でもその前に正体暴かせてもらう。」



 ポンと音がすると、そこには……




 インディアンの遺跡かと思ったら思い切り妖怪屋敷。しかも何故か地球−日本原産の怪達の他、現地調達の魔王()とか悪霊()とか、何故か怪無関係?にも阿○鬼が出てくるおまけ付きです。夜中、学校○怪談状態の家でお便所行くのに殆ど躊躇無いライ君が異常でなのであって魔王は普通?なのかもしれないです。


 なお、黒茶gokkiは見付かり次第これから前回登場クロ(謎スライム)の餌食となるでしょう。それでは次回もどうぞ宜しく御願い致します。


 

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