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「もう!なんで仲良く出来ないの!?」

怒り心頭の姫菜。


結局、夢華が駅に到着したのは、待ち合わせ時間である10時から更に一時間経った11時であった。そして、楽しそうだからと、なぜか夢華について来た姫乃。


二人の目の前には、仁王立ちした姫菜の姿があった。いつもの儚げな美しさはそこにはなく、漫画であれば、後ろにメラメラと燃える炎のエフェクトがつくぐらい鬼の形相をしていた。


不謹慎にも夢華は、そんな姫菜の姿ですら、普段とは違った美しさがあると感じてしまった。


「まったく……。こんな泥だらけになって……小学生の男子じゃあるまいし。」


「ご、ごめん……。でも、ひーちゃん……。」


「でもも、ヘチマもありません!」

言い訳をしようとする夢華をバッサリと切り捨てる姫菜。と言うより、ポチ。


姫菜とポチはすでに入れ替わっていた。二人に強く言えない姫菜の代わりにガツンと言ってやろう。ポチはそう考え半ば強引に入れ替わったのだ。


「時間に遅れたことよりも私達の仲の悪さを叱るなんてね。」


「そこっ!無駄口を叩かない!」


「ひっ!ご、ごめんなさい、黒木さん。」

姫乃には、先ほどまでの余裕はなかった。



「……ふふ、まぁいいや。それより今から三人で遊ばない?」

スッとポチから姫菜に入れ替わる。


「え!?遊ぶ、遊ぶ!!」


「え、で、でも、今日は私とひーちゃんのデート……なんでもないです、私もそれで良いです。」

はしゃぐ姫乃と項垂れる夢華。


姫菜は、そんな夢華に近づく。ゆっくりと近づく姫菜に気づかない夢華。今にも泣きそうな夢華であった。


「また……。」

姫菜は、夢華の耳元で囁くように声を出す。


「え、ひーちゃん?」

ドキッとする夢華。一瞬にして顔が赤くなる。


「また今度二人きりで遊び……デートに行こ?」

もちろんこれはポチが言ったのであった。しかし、そんなことを知らない夢華はさらに顔を赤くし、その場に倒れてしまった。


「ふーん。」

ニヤニヤする姫乃。その顔は、何かに気づいた少女がするしたり顔にも見えた。

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