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姫菜が気合を入れていた、一方新聞部の部室では、薫と百合が机越しに向かいに座り、話をしていた。他の部員は用事や自主休暇という名のサボりで来ていない。


「それで最近はお姫様はどうなの?」

薫の言葉。


「うーん、まぁボチボチ……って言いたいところなんだけどちょっと心配なんだよねー。」

百合が苦笑いで話す。


校内新聞の一件以来、姫菜の記事は載せないこととなっていた。そのため、全校生徒に漏洩される心配がなくなったので、少し前から相談をしていた。


「ん?何かあったの?」


「ほら、白河さんいるじゃん。」


「いるねー、お姫様と同じくらい人気な子。最近部活の助っ人サボってるみたいだけど……で、その子がどうしたの?」

薫は、これといった出来事がなく、校内新聞に書く記事に困っていた。最近では近所の野良猫や野良犬のことを書きなんとか強引に完成させていた。


「その子なんだけどちょっとねー。」


「お?なになに?」

もしかしたら記事になるかもしれない。もちろんこの前の姫菜の件があったため、記事を出す前に本人に許可は取る予定だ。


「春くらいにさ、取材して良いって言われたから取材したんだけど……。」


「なにそれっ!私聞いてないっ!」

百合の話の途中で薫が食ってかかる。


「まぁ、言ってなかったからね。」


「うぐっ……で?」


「その時のメモ。」

そう言うと、百合は一冊のノートを薫に見せた。表紙には、新聞部取材ノート一年赤井百合、と書かれている。


薫がノートを読む。


「こ、これ……。」


「うん、白河さんなんでも正直に話す人みたいだね。」

百合が薫にそう言うと、互いに顔を見合わせ苦笑いする。


とてもではないが校内新聞で載せられるような内容ではない。大抵が姫菜のことを言っている。具体的なものでは、放課後何をしているか、と言う質問には、姫菜の家で遊ぶと答えた。また、趣味はと言う質問には、姫菜を観察することと、姫菜の匂いを嗅ぐことと答えている。流石にこれらは載せられないだろう。


「……一応聞くけど黒木さんは知ってるの?」


「うん、一部は……。」


「一部でも知ってるんだ……。」


「それなんだよね、もう一個の問題ってのは……。」


「え、これ以上あるの?」

苦笑い。もう聞きたくない。薫の脳内が拒否する。


「いや、白河さんはこれ以上やらなしてはいないんだけど、お姫がね……。」


「黒木さん?」


「うん、最近寝不足みたいで……。」


「うーん、まぁ自分の友達がストーカーなんだもんね。」


「ストーカーって……。」

苦笑いの百合。しかし、薫の言っていることも最もである。もし自分が同じことをされていたら二、三日で倒れるかもしれない。


「まぁ、外野がとやかく言うとややこしくなるかもしれないからそっとしとこ。」


「おぉ……薫ちゃん成長したねぇ。」


「なっ!?酷くないっ!?私の方が先輩なんだからね!?」

廊下にまで轟く薫の声であった。

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